阪神・ノイジーは寡黙だけど実は気遣いの人 岡田虎の〝和〟に溶け込み好調維持で首位固めに貢献する
【球界ここだけの話】 チームの勝利を何よりも優先する男の思いがあふれ出た瞬間だった。4月24日のDeNA戦(横浜)。嵐のような横殴りの雨に体を打たれながら執念で押し出しの四球をもぎ取ると、シェルドン・ノイジー外野手(29)はバットを持ったまま両こぶしをグッと握りしめ、ベンチに向かって雄たけびをあげた。 「あの場面は、なかなかチャンスは作れても終盤まで得点することはできていなかった。いいところで回ってきて、本当に、チームのためにできることをやりたかった」 試合後のチームバスまでの道のりではいつもの冷静さを取り戻していたN砲だが、3-3の九回無死満塁で徳山の体に向かってくる直球にのけ反りながら〝決勝四球〟を選ぶと感情が爆発。ベンチではナインも立ち上がり、祝福の咆哮をあげた。そのまま試合も勝利し、岡田監督も「(MVPを選ぶなら)そらノイジーやろ」と評価した。 陽気なタイプではないし、気難しいところもあるが、ノイジーは実は気遣いの人だ。〝チームのために〟という動きを見せる瞬間が試合以外にもあった。スタメンを外れたゲームの練習時間。自身の主戦場である左翼で若手がノックを受けているのに気づくと、わざわざ他の外野の定位置へ移動し、打球捕を続けた。筒井外野守備走塁コーチは「(ノイジー自身は)守備はそれなりにできるからね。どちらかというと若い子たちに練習の場所をと思って、移動しているだけ。たぶん」と笑いつつ、厚い信頼もにじませた。 「でも、ノイジー自身はやるべきことをやっている。スタメンで出られへんときは、センターに行ったり、ライトに行ったり、動きが出る部分で捕ったりしている。(練習方法は)任せています」 昨季は左翼で強肩を生かして両リーグ1位の補殺12を記録。守り勝つ岡田野球に貢献する術は心得ている。「そのとき何がチームの最善か」を考えて動ける助っ人の存在は心強い。〝守備の人〟のイメージは強いが、直近3試合で打率・455(11打数5安打)とバットも好調だ。大型連休での首位固めに、ノイジーが攻守でハッスルする姿に期待したい。(新里公章)