米予算教書、民間予測よりも緩やかな成長と高いインフレ率を想定
(ブルームバーグ): ホワイトハウスは2024年に米経済の成長が著しく減速する一方、インフレ率は小幅ながら米金融当局の目標をなお上回ると予想している。
バイデン大統領が11日に公表した2025会計年度(24年10月-25年9月)予算教書は、24年の経済成長率を1.7%と想定しており、ブルームバーグが調査したエコノミストの予想中央値2.1%を大きく下回っている。
バイデン大統領、7.3兆ドルの予算教書公表-富裕層への課税強化
23年は成長率が2.5%と驚くほど好調だったが、今年は高金利が経済を圧迫し続けるため、景気拡大ペースが鈍化するとの予想が大半を占める。予算教書の予測は、23年の国内総生産(GDP)統計が発表される前の11月に最終決定された。
72人のエコノミストから回答を得たブルームバーグの調査を今回の成長予測は下回っているが、バーンスタイン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長は記者団との電話会見で、5-10年先を見据えた場合、政権は他の多くの予測機関よりも高い成長を見込んでいると指摘。
「これは人的・物的資本への投資や手頃な価格の育児サービスなど、われわれの政策が成長を促進する効果を含んでいるからだ」と説明した。
毎年春、大統領とそのスタッフは予算教書を公表するが、課税と歳出に関する最終的な権限を握っているのは議会だ。下院は現在、共和党が掌握しているため、この予算案が議会で成立する可能性は低い。
しかし、バイデン大統領が再選され、11月に民主党が議会の主導権を確保できた場合、バイデン政権が何を優先させるかを示す指針にはなる。例えば、バイデン政権の予算が成立した場合、児童税額控除の増額や住宅購入者への9600ドル相当の税額控除が実施される一方、法人税は上がり、富裕層には最低税率25%が課される。
インフレと失業率
インフレ率に関しても、ホワイトハウスは24年の消費者物価指数(CPI)が平均2.9%になると予想し、ブルームバーグ調査の2.7%よりもやや悲観的だった。官民とも今後2年間でCPIが金融当局の目標である2%に低下するとはみていない。ただ、金融当局は歴史的にCPIより若干低い個人消費支出(PCE)価格指数を基準としている。