「まるでギャンブル」の衆参ダブル選挙案…いまの自民党・石破政権に広がる“意外な空気感”
政治改革では、立憲民主党など野党7党が提出した政策活動費を廃止する法、公明、国民民主両党が提出した政治資金をチェックする第三者機関を国会に設置する法などの政治改革関連3法が24日に成立した。調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開と未使用分の返還を義務付ける改正歳費法も20日に成立している。 企業・団体献金については、公開して存続させたい自民党に対し、禁止を求める立民党や日本維新の会などの溝が埋まらず、結論を先送りした。 先の臨時国会は、与党過半数割れの下で終始野党ペースで進んだが、石破首相は国会閉幕の記者会見で「熟議の国会」を実現したとし、「他党の意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成を図るよう努力した」と強調した。 首相の衆参予算委員会での答弁は「安定していた」(森山氏)と与党内を安堵させた。野党からは、理路整然としているようで中身がないとして「石破構文」と揶揄されたこともある。立民党の長妻昭代表代行が12月10日の衆院予算委で「本当によどみなく答弁され、聞き入ってしまうが、帰って議事録をよく読むと、質問にほとんど答えていない。すごくはぐらかされている。初めに結論を言って、正論は後からお願いしたい」と皮肉ったほどだ。 ■「首相になった以上、支えるしかない」 当初は「短命政権」と目された石破首相に対する与党内評価は好転した。それまでくすぶっていた参院選を前にした「石破降ろし」の動きが取りざたされなくなったのが実情だ。 石破政権は元々、犬猿の仲だった岸田文雄前首相と菅義偉副総裁(元首相)がそれぞれ率いる岸田派と菅グループが24年の総裁選で「連立」して担いだ政権だけに結束力に難があった。党内野党が長く、有能な側近や同志を持たない石破首相は、与野党に人脈を張り巡らせている森山氏を総裁選投票前日に幹事長に指名したが、ようやく呼吸が合って来たと言える。石破氏周辺には「事実上の森山政権と言っていい」との声も上がる。 首相とは距離があった岸田派No.2で、バランス感覚に優れている林芳正官房長官を再任させたのも、政府・与党内の信頼を勝ち得るのにつながっている。 自民党には「それまで対立していても、首相になった以上、支えていくしかない」(旧岸田派幹部)という組織文化がある。 決選投票を争った高市早苗元経済安全保障相を推した麻生太郎党最高顧問(元首相)も石破首相に助言するなど、矛を収めている。首相は12月24日昼、国会内で麻生氏と会い、トランプ次期米大統領と会談する際は「ポンポン聞いてくるから、手短に次々と返したらいい」などとアドバイスを受けている。 客観的にも「仮に首相の座を獲得しても、少数与党のままでは、野党に頭を下げるだけで、自分のやりたい政策はできない」(現職閣僚)とあって、石破首相に取って代わろうという勢力が、今のところ党内に見当たらない。このまま参院選まで政権の低位安定が続くのではないか、という空気になっている。