Bリーグ1の“モテ男”金近廉 代表入りへ「100%のプレーを出して、チャンスをつかみとれる選手に」
AERAの連載「2024パリへの道」では、今夏開催されるパリ五輪・パラリンピックでの活躍が期待される各競技のアスリートが登場。これまでの競技人生や、パリ大会へ向けた思いを語ります。 【写真】金近廉さんの写真をもっと見る * * * 東海大学を中退してのプロ入りは、今やBリーグを代表するスター選手となった1学年上の河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)と同じ足跡。見本となったのかと聞くと、少し黙り、答えた。 「いや、あまり影響はなかったですね。ただシンプルに僕がプロに行きたかった。在学時に代表に選ばれたという経験は大きくて、少しでも早く、もっと上の環境でできる選択肢を取ったというだけです」 シューターとして鮮烈な代表デビューの実績をひっさげ、鳴り物入りでBリーグの舞台へ。昨年8月から開催されたFIBAバスケットボールワールドカップ2023(W杯)でのロスター(登録選手)入りも視野に入っていたが、本大会行きはかなわなかった。 「W杯前の合宿も含め、しっかり準備して臨んだ結果うまくいかなかった。まだまだ実力が足りなかったという一言なんですが……それまでにもっとできることはあったと思うし、チャンスをつかみきれない自分に対しての不満や後悔が大きかった。チャンスをつかみとれる選手にならないといけないと強く感じました」 今年のパリ五輪への出場権を争う予選も兼ねたW杯本大会で、日本代表は欧州勢を初めて撃破するなど快進撃を見せ、48年ぶりの自力での五輪出場をつかみ取った。渡邊雄太や富樫勇樹、河村といったスーパースターが、世界の強豪と真っ向からぶつかり躍動したこの大会を悔しさをかみしめながら見ていた。代表選手と自分は何が違うのか。
「合宿やW杯予選を経て痛感したのは、経験の差。僕はそれまでプロの経験も一切なく、レベルの差を感じてしまった。身体能力やシュートの技術とかはそこまで変わらないと思うんです。それだけに、世界で戦うメンタル面の充実や、積み上げてきた経験値の違いが際立っていました」 今季はプロ1年目として経験を積み、ファンあっての自分と責任感も芽生えた。今、バスケがより楽しくなっていると話す。 「プロではアウトサイドでプレーしていますが、日本人の中では身長が高い方なので外国籍のビッグマンにマークにつくことも多く、大学時代のインサイドでの経験は生きています。すべてをプラスに捉えてプレーの幅を広げていきたいです」 パリ五輪まで2カ月。自身の立ち位置はわかっている。再びの代表入りへ、モチベーションは高い。 「米国が本気で取りに来るほど、バスケでは最高の国際大会。あまり時間はないですが、アピールしていきたい。僕に求められる仕事は3ポイントシュート。短い出場時間でも100%のプレーが出せるようになれば、パリに行くチャンスはあると思っています」 将来を嘱望される選手である一方、Bリーグが今年2月に行ったバレンタイン企画「B.LEAGUE モテ男No.1決定戦2024」では歴代最高得票数で1位に輝いた「モテ男」という顔も持つ。女性誌「anan」ではタンクトップから腹筋をのぞかせる写真など、アスリートらしからぬ(?)一面も見せた。取材時、コート上での撮影中にはチームメートから「ちゃんとおなか見せろよ」とからかわれる場面も。 「多くの方に選んでいただいて、モテ男として仕事しないといけないので。今はまだ若いからいいんですが、年を取ってくるときつくなると思うので、だんだんイケオジに路線変更できたら(笑)」 バスケを語る時とは打って変わって、いたずらっぽく笑った。(編集部・秦正理) ※AERA 2024年5月27日号
秦正理