『美味しんぼ』『NARUTO』など 声優・井上和彦 70歳 芝居を始めた理由は「苦手な部分が直ればいいなと」
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『美味しんぼ』の山岡士郎役や、『NARUTO-ナルト-』のはたけカカシ役などで知られる声優の井上和彦さん(70)が、デビュー50周年を記念した初の自伝本を執筆。インタビューで執筆の経緯や声優として大切にしていることなどを聞きました。
■初の自伝本 出版の理由は
井上さんの自伝本『風まかせ 声優・井上和彦の仕事と生き方』。二枚目から動物まで数々のキャラクターを演じ続けてきた井上さんの、実は話すことが苦手だった10代の頃や、プロボウラーを目指した過去、新人時代の失敗談など、井上さんの歩んできた道が赤裸々につづられています。 ――自伝本を執筆することになった経緯を教えてください ちょうどデビュー50周年と70歳というのと合わさって、“キリのいいところで何かできませんかね”みたいな感じになって、こういう話をいただいた。声優になって50年ですから、“何か残しておいてもいいのかな”という、そんな思いでしたね。 ――自伝本にはどのような思いを込めましたか? “なぜこの井上和彦ができあがったのか”みたいな。生まれてから大きくなるまでの間に、それぞれの人格は形成されると思うんですけど、それが自分の仕事にどう役に立っていくのか。そんなところを感じ取ってもらえればうれしいなと思って書きました。
■声優になったきっかけ「苦手な部分が直ればいいなと」
1973年にデビューして以来、約半世紀にわたり活動を続けてきた井上さんですが、実は、声優には“なりたくてなった”わけではなかったそうです。 ――声優になったきっかけは何だったのですか? 人と会うのが苦手になっちゃったので、どうやったら社会で生き残っていけるかというか、生きていけるか。そういうところを改善しようとしたら、声優になっちゃった。人に会って話すのが苦手な部分が直ればいいなと思ってお芝居を始めたら、それが本職になっちゃったという感じですね。
■『夏目友人帳』『名探偵コナン』にも出演 「演じる時の気持ちは本物でありたい」
『美味しんぼ』や『NARUTO-ナルト-』のほかにも、『夏目友人帳』ニャンコ先生/斑役や、『名探偵コナン』の白鳥警部役など、様々な作品で様々なキャラクターを演じてきた井上さんには、芝居を始めた当初から持ち続けている“大切にしている事”があるといいます。 ――役者として演じる上で大切にしていることは何ですか? 1個だけ言うとすれば、お芝居って全部ウソのものですよね。作り物ですから。でも、演じる時の気持ちは本物でありたいなっていうのは大切にしています。そこから全てが生ずるというか。そこから全てが派生して色んな技術にまで、あまり技術ということを僕は言いたくないんですけど、そういうところにまで行き着くんじゃないかなと。本当の気持ちを持って表現したいなっていうのはありますね。 ――そう考えるようになったのは? これは初めからです。お芝居があまりできない時からそれしかなかったので。“その気になってやろう”っていうことは一貫して。それを持ち続けていたっていうのが、僕にとっては間違いじゃなかったなと思います。