<ふるさと納税>北海道でトップの上士幌町 小さな町が人気の理由は?
“スタートダッシュ”に成功
上士幌町では2002(平成14)年度からIT情報担当部署を創設し、2008(同20)年度からはSNSをスタート、2010(同22年)度からは地域おこし協力隊によるホームページの充実化を図ってきました。2011年6月のホームページ・リニューアルでは、スマホ・携帯電話への対応も行っています。 そのIT関連の充実と同じ時期に、ふるさと納税制度がスタート。2008年度から2010年度は特典がありませんでしたが、2011年8月から寄付者への特典をつけ始めました。2012年には、ふるさと納税ポータルサイトの「ふるさとチョイス」に参加、2013年には複数回の寄付すべてに特典をつけ、ホームページのフォームも入力しやすいように改善し、クレジット決済も導入しました。 また、特典となっている町の特産品(牛肉・ジェラード・豆類など)に関しても、2009年度から特産品開発のため生産者に補助金を準備。官民一体となって取り組み、2010年8月には町の通販サイトを立ち上げ、生鮮物の発送のノウハウなどをいち早く取り入れていました。 その甲斐もあって、2011年8月に特典を開始した際には、他の市町村と比べスタートダッシュに成功しています。IT事業と特産品開発事業の地道な努力がうまく組み合わさり、上士幌町の「ふるさと納税政策」として実を結びました。
子育て・少子化対策などに活用
気になる使い道ですが、寄付金の半分は「町におまかせ」という指定が来ているそうで、上士幌町企画財政課の深瀬一輝さんは「『子育て・少子化対策夢基金』という政策を推進しています。もともと教育に寄付金を使ってほしいという要望は多かったのですが、皆さんに応援していただいて集まったお金ですから、行政側としても使用用途の責任を強く感じています」と話しています。 具体的には「2013年度は4000万円ほどの積立金があって、スクールバスの更新や図書館貸出し用のDVDソフトの購入、中学生以下の子供がいる家庭への支援などに使わせていただいています。2014年度は非常に多くの積立金ができる予定ですので、今年度以上によりよい町づくりに使わせていただければ」といいます。 実は、上士幌町への「ふるさと納税」がスタートした2008年度は5万円(1件)の寄付金しか集まりませんでした。それが6年後の今では、およそ2万倍の規模に……。工夫次第でここまで大きな政策に変化することを実践している上士幌町。地方創生のカギは、やはり地方の地道な努力が握っているようです。 (ライター・橋場了吾)