福島第一原発「処理水問題」で孤立する中国 「振り上げた拳」の着地点を探る
福島第一原発「処理水問題」で孤立する中国 「振り上げた拳」の着地点を探る
飯田)他方、福島第一原発では処理水の海洋放出も行われましたが、発災直後はかなりの国で食品の輸入規制などがありました。大分理解されるようになってきましたが、中国などはまだ(輸入を)止めている現状もあります。 秋田)中国は、福島第一原発が出している処理水を「核汚染水」と表現し、日本に対して魚介類の輸入禁止などの制裁を行っています。ところが最近取材していると、どうも空気が変わってきたように感じます。中国は孤立しているではないですか。福島の処理水が危険ではないと、EUやアメリカ、G7の国はすべて認めている。韓国も懸念はしていましたが、汚染水などという言い方はしていません。そういう意味では中国も、振り上げた拳を下ろしたいのでしょう。だから専門家協議に応じて、何とか着地点を探ろうとしているのだと思います。 飯田)その意味では情報戦について、日本政府はある程度、上手く対応した部分がありますか? 秋田)情報戦で上手く対応したと言うと、本当に危ないものをうまく説得できたような印象を受けますが、もともとデータを見れば明らかなものを「そうではない」と言われてきたわけです。それがようやく真っ当に理解されるようになった。そんな状況が生まれたと考えてもいいと思います。 飯田)日本もIAEAの研究者たちを呼んで調査してもらったり、手を尽くしましたものね。 秋田)数値や科学であって政治ではないので、この問題については中国の対応も徐々に収束していくと思います。