農地の半数が太陽光パネルになる?絶望シナリオを避けるには「国営農業」しかない!
農家の高齢化が進み、日本の農業の未来が危ぶまれています。農地が太陽光パネルに変わったことで、将来的には食糧危機も起きる可能性があるのです。絶望的な未来を避けるには、禁じ手である「国営農業」が有効かもしれません。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博) 【画像】著者プロフィールを見る ● 気候変動の影響で “美味しい米”は年々変化している いまから1年ほど前のこと、コンビニなどでおなじみの「八代目儀兵衛」の役員の方とお話しをする機会がありました。 その当時、たまたま私の定宿のヒルトン系列のホテルが朝食で八代目儀兵衛のごはんを提供し始めました。それがとても美味しかったことと、「米の目利き」という仕事がなぜ成立するのか興味があったのでお話を伺ったのです。 私が理解したことは、美味しいお米の産地やブランドは年々変化しているということです。背景には気候変動の影響が大きいと思われます。八代目儀兵衛は米の卸問屋が祖業ですから、そのことを極めて具体的に把握されています。 私もグルメに関心は高いので、役得とばかりに私の嗜好をお話ししたうえで、それに合ったコメを教えてもらいました。ドンピシャでした。個人的な嗜好なのでブランド名は伏せますが、美味しいコメにはいろいろあることを改めて理解しました。 さて、ここからが本題です。農家の高齢化が進み、日本の農業の未来が危ぶまれています。コンビニでも気軽に手に入るおにぎりや食卓のコメが、輸入品になってしまう日も来るかもしれません。
● 兼業農家が離農 →太陽光パネルがズラリ 実は私の実家も兼業農家でした。祖母から父の代まで細々と農地だった場所は、今は空き家と耕作放棄地になっています。つい先日、それをどうするかを考えるために帰省しました。 帰省して驚きました。帰省するまでは漠然と、「空き地は太陽光発電か何かで活用するかな?」と思っていたのですが、帰省してみた光景はまさにその通りでした。 私の故郷で10年前には農地だった場所が、今ではまとまった形で太陽光発電施設になっています。 車で走ってみるとわかるのですが、国道沿いにひろびろとした農地があって、途中である一角が急に広い太陽光発電設備になるとい光景が延々と続いているのです。そこから容易に想像がつくのは、 「こことあそことあのあたりは離農したのだろう」ということです。 農地を太陽光発電所にするためには、農地転用の認可が必要です。一般的には耕作放棄地を農地以外に転用することは簡単ではなかったのですが、最近の脱炭素、グリーン電力重視のご時世で、以前よりも農地転用がやりやすくなってきているのでしょう。目の前に広がる太陽光発電設備を見ると、そのことが確信できます。 戦後の農地改革で、日本では多くの農業従事者が自分の農地をもてるようになりました。実は私の実家は農地を差し出した側で、子どもの頃、車で自宅の周辺を走るとよく祖母が、「ここもあそこも、昔はぜんぶうちの田んぼだったんだよ」と恨み半分で教えてくれたものでした。 農地改革の精神を守るために制定されたのが農地法で、この法律によってふたたび大地主が農地を集約する動きが起きないようになりました。このことが実は、副作用として長年、農業の大規模化を妨げてきたのでもありました。