幅寄せ怖い!自転車に思いやり…追い越す車、1.5メートル以上あけて
自動車が車道で自転車を追い越す際に1.5メートル以上の間隔を保つことを呼びかける運動が広がっている。先駆けとなった愛媛県や、徳島県鳴門市、宮崎市など11自治体が実施。自転車の事故が近年増加に転じる中、安全意識の向上につながるとして注目されており、警察庁は今後、具体的な間隔の基準を設ける予定だ。(徳島支局 山根彩花) 【画像】サイクリストを追い越す車(徳島県鳴門市で)=画像の一部を加工しています
「車にクラクションを鳴らされた」「幅寄せされた」。自転車利用者からこうした声が寄せられ、鳴門市は昨年10月、車の運転手に自転車と1.5メートル以上の間隔を空けるよう呼びかけるステッカーを作り、バス事業者やサイクリストに配った。
愛媛など11自治体運動
市では2027年度をめどに淡路島へとつながる大鳴門橋(全長約1.6キロ)に自転車道が開通する予定で、多くの自転車が行き来すると見込まれる。市地域交通推進室の浜田佑人室長は「車と自転車双方の運転マナーを向上させ、サイクリストが訪れやすいまちを目指したい」と意気込む。
草分けは愛媛県だ。13年、自転車と車が道路を共有し合う「シェア・ザ・ロード」の考えに基づく「自転車の安全な利用の促進に関する条例」を施行。条例を浸透させるため、15年から全国で初めて1.5メートル以上の距離を空けるか、難しい場合は徐行を促す「思いやり1.5メートル運動」を始めた。
同県が作ったロゴは高知県香南市や愛知県新城市などで使われ、昨年は鳴門市に加え、鳥取県大山町と高知県宿毛市も名乗りを上げた。
事故増加
警察庁などによると、自転車事故は04年から減少傾向が続いていたが、21年から増加に転じ、23年は7万2339件(前年比2354件増)に上った。移動手段や趣味で自転車の利用が増えていることが背景にあるとみられる。このうち車との事故は77%にあたる5万5735件だった。
自転車は道路交通法で「軽車両」とされ、原則車道を通ることになっている。同庁が昨年8月に公表したアンケート結果では、自転車の運転中に車と接触したり、接触しそうになったりしたことがある人が全体の36%を占めた。