「ダンプ松本を血まみれにしてやりたい」歴史の“生き証人”が語る、女子プロレスブームの裏側
何者でもなかった少女たちが、女子プロレスラーという、みんなに認められた存在になっていく……という流れは、まさしくプロレスラーそのままだという。 「実話をもとにしたフィクションとはわかっていますが『ここは違うんじゃないか』『このエピソードも入れてほしかった』というところはありました。でも、当時のファンとしての熱狂的な気持ちを思い出させてくれましたし、第3話くらいからは号泣しながら見ていました」
「人間いくつになっても頑張れるんだ」
現在は、40代で出産し60歳を優に過ぎてもリングに上がっているジャガー横田をはじめとして、「25歳定年」や三禁などまったく意に介さずに活躍している女子レスラーがたくさんいる。 ダンプが率いた「極悪同盟」のメンバーであるブル中野は、その後のアメリカ遠征での功績が称えられ、世界最大のプロレス団体、WWEで殿堂入りを果たした。今はダイエットに成功したため、あの当時の姿は見る影もない。 「人間いくつになっても頑張れるんだと、10代のころとは違う形で勇気をもらっていますね。普通の人と地続きで、レスラーたちが夢や希望を与えてくれる時代が来たということでしょうか。ですが、今回の『極悪女王』を見て、ダンプ選手やクラッシュのような、近寄りがたい圧倒的な存在感の女子プロレスラーの出現に、今でも期待をしている自分がいます」 取材・文/木原みぎわ いとう・かなこ 1970年生まれ、大阪府出身。元『月刊プロレス・ファン』編集長を経て、女子プロレス担当記者として、多数の媒体で執筆。ライオネス飛鳥の公認親衛隊隊長でもあったという経緯から『1985年のクラッシュ・ギャルズ』(柳澤健著)に“3人目のクラッシュ”として登場。