（ブルームバーグ）： 18日の東京株式市場でセブン銀行株が４日続伸し、約１年ぶりの高値を付けた。親会社のセブン＆アイ・ホールディングスによる再編計画や自社株買いへの期待から、週間ベースでは３週連続の上昇となる勢いだ。

18日は一時1.7％上昇し、2023年10月２日以来の高値となった。７＆ｉＨＤがカナダのコンビニエンスストア大手から買収提案を受けたことが明らかになった８月中旬以降の上昇率は約17％と、ＴＯＰＩＸ銀行業指数の構成銘柄で断トツだ。

背景にあるのが７＆ｉグループの再編期待だ。オリオール・アセット・マネジメントの小野塚二也最高経営責任者（ＣＥＯ）は「セブン銀は将来性のある優良企業で、７＆ｉＨＤとしてはスピンアウトして高く売りたいニーズがある」と語る。手数料収入が堅調に伸びているセブン銀株は買いやすく、市場で再編の思惑が続く間は「じり高が期待できる」と言う。

みずほ証券の松野真央樹シニアアナリストは、現在議決権の46.4％を保有する７＆ｉＨＤが持ち分を減らせば、セブン銀の自社株買いへの期待が「大きく高まる可能性がある」と指摘する。

松野氏によると、これまでセブン銀の自社株買いは難しかった。流通株式が減ると、７＆ｉＨＤの保有比率が議決権の過半を超えるなどして銀行持ち株会社に該当する可能性が出てくるためだ。銀行持ち株会社は一般に業務範囲や自己資本比率などの規制対象となる。７＆ｉＨＤが持ち分を減らせば、セブン銀が自社株買いを実施する余裕が生まれることになる。

ただ、オリオールＡＭの小野塚氏は、ファンダメンタルズから見てセブン銀株にはやや割高感が出てきたともみている。中期的な株価動向は「７＆ｉＨＤ買収劇の行方や具体的な再編策が出てくるか次第」だと述べた。

７＆ｉＨＤは10日、企業価値・株主価値の最大化に向けた施策を公表し、セブン銀に関して「最適な資本関係の在り方」を検討する方針を明らかにした。