霜降り明星せいや“17年来の夢”初の著書発売「夢のある世界」辛い経験も原動力「また書きたい」
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> お笑いコンビ、霜降り明星のせいや(32)を取材する機会に恵まれた。高校時代のいじめ経験や「人生を変えた」文劇祭でのコントについてつづった半自伝小説「人生を変えたコント」(ワニブックス刊)を発売。発売記念イベントでは同書に込めた思いを語り、執筆の日々を振り返った。 発売日の5日後に行われた記念イベントに、せいやは、やや緊張の面持ちで登場した。集まった報道陣を目にし「本のイベントとか初めてなので、こんなに人に集まってもらえるんやってまずびっくりしてます! ありがとうございます」と伝えた。 チェック柄のセットアップに帽子をかぶったスタイリングで「先生スタイルです」とにやり。同書は発売日に重版が決定しており、イベント中には10万部突破がせいやに初めて伝えられた。「うれしいー! 1週間で10万部! 社会現象になれー!」と大喜びし、報道陣を和ませた。 13年1月に粗品(31)と「霜降り明星」を結成し「M-1グランプリ2018」で番組史上最年少で優勝を成し遂げた。同書は自身初の著書で、3年以上かけて書き上げた半自伝小説だ。当初は「読売中高生新聞」で全12回の連載形式で掲載。連載終了後に3万字以上を加筆して同書を完成させた。 せいやにとって同書は「17年来の夢」だという。「高校時代にこういったことを体験した当時、本にせなあかんって思ってて。本にして自分の中で消化するみたいなのが夢でした。芸人で売れたから(本を)出すとかじゃなくて、どういう道に行っても本は出そうと思ってました」と話した。 驚くことに、執筆は全て手書きで行ったという。「手書きって言うと周囲からは『意味分からん』って(笑い)。パソコンで出る機械的な字だとちょっとかっこつけてしまうんです。インタビュー形式でやっていくパターンとかもあるけど、何かノらない」と説明した。 「頭の中で物語を映像化させて、わーって殴り書きするんです。その方が臨場感が出るなって思いました。自分の手で書いた方が変な渋い比喩とかそんなに使わず、ありのままを文字にできたのでは」と振り返った。 さまざまなテレビやラジオ番組で活躍し、お茶の間の人気者となっているせいや。多忙な日々の中、漫才のネタ作りなどと並行しながらの執筆作業に苦労した。「くたくたになって帰ってきて、日々の仕事に追われながら本もなかなか進まず…。途中諦めそうになったこともありました。『俺何してるんやろ』って」と回想した。 それでも、昨年結婚を発表した妻や子どもの存在に支えられ、完成にこぎ着けた。「今もどこかで誰かが買ってくれてるというこの状況が、すごい夢のある世界やなって。また書きたいなと思いましたね」と笑顔を見せた。 「しんどいこととかあるじゃないですか。思い返したらあれほんま嫌やったわ、今考えたら俺めっちゃかわいそうやんけ、みたいな。それを原動力に文字にするっていいなって思いました」とにっこり。つらい過去も受け止め、前向きに乗り越えようとするたくましい姿が印象的だった。 次作の構想は「ぼんやりある」という。「今回は高校時代の話ですけど、漫才は小学校のとき、9歳くらいから始めてて。芸人なってからも逆風はあったんで『人生を変えた○○シリーズ』とか」とにやり。せいやの紡ぐ物語は、これからもたくさんの人に笑顔と勇気を与えていく。