潜在労働力掘り起こしへ 30、40代女性「プチ勤務」鍵に 松本の就業率が県平均下回る
長野県松本市は、働きたいのに働いていないミドル層の女性の割合が他地域より多い―。県が人材不足に悩む宿泊業の課題解決に向けて行った労働実態調査で、30~40代の市内の女性就業率が落ち込み、労働力が潜在化している実態が浮き彫りになった。給与よりも勤務日数などの働き方を重視する傾向も強い。県は、超短時間の「プチ勤務」を活用した人材確保策を広めたい考えだ。 調査は、宿泊施設の人材確保モデル事業を県から受託する大手人材サービス会社・リクルート(東京都)が実施した。令和2年の国勢調査における性年齢別就業率を分析したところ、30代後半~40代の女性は68・4%~76・6%で県平均を4~5ポイント下回っていた。同社の担当者は「結婚・出産で一度仕事をやめる人が一定数いる。仕事と両立できれば働ける人はまだまだいる」と話す。 また、30~40代の女性を中心とした市民3341人を対象に就業意向を調べたところ、仕事探しの絶対条件は「勤務日数(休日・休暇)」が最多で72・3%、次いで「勤務時間帯」が69・2%だった。給与は7番目の51・1%で、働き方重視が浮き彫りになった。仕事をしていない人のうち「働きたいが仕事は探していない」が40・9%、「仕事を探している」が26・2%で、就業希望は計7割近くに上った。 県は調査結果を基に11日、宿泊業者向けの全6回の人材確保セミナーを市内で開始した。同社は「シフトと業務を細分化し『プチ勤務』を生むことが、潜在労働力の就職のきっかけ、正社員の負担軽減につながる」とし、プチ勤務ができる業務の洗い出しや求人票の書き方を助言した。 安曇で温泉旅館を営む参加者の女性(34)は「求人を出しても応募が集まらない。働く側に立ち、少しでも関心を持ってくれた人と良い関係を築けるようにしたい」と話していた。
市民タイムス