アクシデント押して先発していた主将・喜田拓也「必ず逆転できる自信があった」横浜FMがアジア制覇に王手
[5.11 ACL決勝第1戦 横浜FM 2-1 アルアイン 日産ス] クラブの歴史を変えるアジア制覇まであと1勝。横浜F・マリノスの主将を務めるMF喜田拓也はAFCチャンピオンズリーグ決勝第1戦の試合後、「これだけ素晴らしい雰囲気を作ってもらって感謝している」と53704人の大観衆が詰めかけた日産スタジアムのファン・サポーターへの感謝を述べ、逆転勝利につながった試合運びを前向きに振り返った。 【写真】「マジで美人」「可愛すぎてカード出る」現地観戦した女子アナに称賛集まる 「ホームだし、先に取ってゲームを進めたかった思いはもちろんあった。その中で先に取られて気持ち的な焦りだとか、攻め急ぎたい気持ちはチームにあったと思う。けど、自分たちがやるべきことはそうじゃないと。我慢強く焦れずに、やるべきことをしっかりやれていれば必ず逆転できる自信があった。そこのマネジメントは自分中心になってやっていきたいと思っていた。現に逆転まで持っていくことができたらチームの成長だと思う」 焦りはなかったとはいっても、取り返そうという気概にはあふれていた。 象徴的だったのは0-1で迎えた前半34分のシーン。右サイドに開いたFW植中朝日からの展開を受けた喜田は右足を振り抜いた。完璧に思われたシュートはGKハリド・エイサのスーパーセーブに阻まれる形となったが、大きなアクションで頭を抱える主将の姿は珍しく、その姿勢を目の当たりにしたゴール裏サポーターからはひときわ大きな大歓声が沸き起こった。 「シュートに関しては僕のほうから見たら行ったなと思ったので、自分にできることはやった。GKがナイスセーブだった」。そう振り返った喜田にとって、どよめく歓声は望んでいたものでもあったようだ。 「会場のボルテージが上がってくれたのはある意味、計算という言い方はしたくないけど、その姿勢を感じてもらえたのはすごく嬉しい。(ゴールを)望んでくれていたのかなと思う。一番は(ゴールに)沈められていればよかったけど、自分どうこうよりチームが勢いづく意味でもいい攻めができていた。チャンスも多く作れていたし、相手の決定的なチャンスはそう多くなかったので、チームとしての成長を感じられる面も多かった」。 それまでも数多くのチャンスを作っていた横浜FMだったが、ビハインドの中で焦らず試合を進めるにあたっては、一つ大きな支えとなるワンプレーだった。 そんな喜田自身は後半15分で途中交代。多くを語ろうとはしなかったが、試合前に起きたアクシデントを踏まえた判断だったという。ACLでは準決勝2試合を負傷欠場した他、復帰後もプレータイムを制限しながらの出場が続いており、コンディションに配慮をしながらプレーをしているようだ。 「もちろんピッチに立つか立たないかは最後は監督の判断だけど、ピッチに立つと決まった以上、今日がキャリア最後のゲームになってもいいという覚悟でピッチに立った。別にそれが今日だから、決勝のピッチだからというわけではなく、自分がこのエンブレム、ユニフォームを着て戦う以上は毎試合そのつもりでピッチに立っている。それが仲間、ファン・サポーター、マリノスファミリーへの責任だと思う。そういう思いでピッチに立った」 それでもピッチから離れた後も、チームを支える役目は欠かせないものだった。代わって入ったMF渡辺皓太に後を託した後、後半32分にMF榊原彗悟とMF山根陸が入った場面では2人に入念に指示を出す姿も見られた。 「ゲームの直前でアクシデントがあって、自分のコンディションがギリギリだったので、短い時間にはなってしまったけど、彼らには中で感じていたことを伝えて、ゲームに入ってほしいと思った。チームを信じて、仲間を信じて、伝えるべきことを伝えた」。そんな主将の陰の働きも、見事な逆転劇につながっていた。 そうして掴んだ決勝第1戦の白星。25日に敵地で行われる第2戦で引き分け以上に持ち込めば、悲願のアジアタイトルを掴めるところにまで辿り着いた。 クラブの歴史を左右する決戦を見据えた喜田は「メンタル、マインドのところ」とテーマを掲げ、「第2戦は彼らが別のチームになると思う」と警戒は欠かさない。「彼らのホームでやるし、違った状況、違った環境で戦いに行くので、心してかかりたい。それだけの準備をして、覚悟を持って乗り込みたい」。この日見せたような試合運びと同様、準備段階からブレずに決戦ムードを作り上げていく構えだ。