小湊鉄道の名物の歌声列車が定期運行を終了し、15年にわたる歴史に幕を下ろした。ラストランには常連ら60人が乗車し、約3時間に及ぶ最後の“歌声旅”を満喫した＝20日、市原市

　走行中の列車に揺られながら乗客が懐メロなどを歌う小湊鉄道の名物の歌声列車が20日、15年にわたる定期運行を終了した。市原市内外から訪れた常連ら60人は、顔見知りの参加者と思い思いに「青い山脈」などの昭和歌謡を列車内に響かせ、五井－養老渓谷駅間の往復約3時間に及ぶ最後の“歌声旅”を満喫した。 　歌声列車は2009年6月にスタート。市内の歌唱グループが地域活性化や小湊鉄道応援を目的として、同鉄道の協力を取り付けて導入した。コロナ禍で3年間中断したが、昨年に復活。中高年を中心に多くのリピーターを獲得し、通常の列車に増結された貸し切りの車両は、毎回ほぼ満席になる人気ぶりだった。列車の安全運行に注力するため、今回の第75回の節目で15年の歴史に幕を下ろすことになった。

歌声列車運行終了の式典でくす玉を割った清水さん（右）＝20日、市原市の小湊鉄道五井駅

　最終運行に先立ち、五井駅では式典が開かれ、スタッフ代表の清水厚史さん（79）＝同市＝が「大勢の皆さまに支えられて75回まで開催できた。本当にありがたい」とあいさつ。列車が動き出すと、乗客はキーボードとアコーディオンなどの伴奏に合わせ「高原列車は行く」や「青い山脈」などを歌いながら、沿線の風景を楽しんだ。 　これまで10回ほど参加した船橋市の水村婦美子さん（76）は「列車内で昭和の歌や地元の歌を、みんなで歌う機会がなくなってさみしい」と名残を惜しんだ。