国内景気は、年末需要が堅調でじわり改善 ~2024年は、賃上げや金利動向の行方に注目~
TDB景気動向調査(全国)― 2023年12月調査 ―
帝国データバンクが2023年12月の国内景気に関する調査を実施したところ、景気DIは前月比0.1ポイント増の44.9となり、3カ月連続で改善しました。 12月は、インバウンド需要の継続やボーナス支給による堅調な年末需要がプラス材料でした。飲食業やスポーツ・娯楽施設などの観光産業が上向いたほか、外出機会の増加にともなう化粧品需要の拡大、一部業界で進む価格転嫁なども押し上げ要因となっています。またインフルエンザの流行で医薬品関連は上向きました。 一方で、暖冬による雪不足や季節商品の販売不振は下押し材料となったほか、人手不足による機会損失の長期化なども悪材料でした。
年末需要が下支えし、『運輸・倉庫』や『小売』など6業界で改善
業界別では、年末需要が下支えし全10業界中6業界が前月から改善、前年同月の水準を9業界で上回りました。特に、忘年会など会食機会の増加は、飲食関係に限らず好影響となっています。他方、軽自動車メーカーのダイハツ工業の不正問題は幅広い業種にマイナスの影響を及ぼしています。 『運輸・倉庫』(44.5)は2カ月ぶりに改善しました。「年末に向けて輸送量が増えてきた」(一般貨物自動車運送)や「忘年会シーズンが始まり利用が増加」(一般乗用旅客自動車運送)などトラック輸送やタクシーなどで年末需要を実感する声が複数あがっています。 加えて、倉庫関連も冷蔵倉庫業で景気DIが50を超えるなど、お歳暮やクリスマス、正月などのイベントが景況感を押し上げました。また、荷主の運賃改定の受け入れが増加してきているなどといった前向きな声も寄せられています。ただし、ドライバー不足など懸念材料は多い状況です。 他方、『製造』(41.5)は3カ月ぶりに悪化しました。自動車生産は安定していたものの、ダイハツ工業の不正問題の影響で「関連部品の受注が停止」(自動車部分品・付属品製造)といった声があがる「輸送用機械・器具製造」は、2カ月ぶりに悪化しています。帝国データバンクの調査でも8,000社超の企業に影響を及ぼす可能性があると推計しています。 また、中国ほか海外市場への荷動きが停滞といった声が聞かれた「化学品製造」は4カ月ぶりに下落しました。