神木隆之介&浜辺美波、『ゴジラ-1.0』「らんまん」と駆け抜けた2年を振り返る。次回作は「僕が浜辺美波に復讐する話」
日本が世界に誇る怪獣映画の金字塔「ゴジラ」シリーズ。2024年に迎える記念すべき70周年に先駆け、『シン・ゴジラ』(16)以来7年ぶりに日本国内で実写作品として制作された『ゴジラ-1.0』が公開中だ。「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなどで知られるヒットメイカー、山崎貴監督がメガホンをとった本作は、戦後のすべてを失った日本にゴジラが襲来し、絶望的な状況のなか、生きるために立ち向かう人々の姿を描きだす。 【写真を見る】浜辺美波、美しすぎる横顔。黒のシースルードレスに胸元のリボンがキュート! MOVIE WALKER PRESSではこのたび、主人公の敷島浩一役を演じた神木隆之介と、ヒロインの大石典子役を演じた浜辺美波を直撃!苦悩を抱えながら戦争から生還した敷島は、自分と同じように家族を失った典子と出会い、共に暮らし始める。先日まで放送されていたNHKの連続テレビ小説「らんまん」での共演も記憶に新しい2人は、どのような想いで国民的映画シリーズに挑んだのか。抜群のコンビネーションで繰り広げられたツーショットインタビューの模様をお届けしていこう。 ■「『あのゴジラに!?』という驚きがすごく大きくて、プレッシャーは相当ありました」(神木) ――まずは本作に出演される前に、「ゴジラ」に対してどのような印象を持っていたかお聞かせください。 神木「実は僕、映画館で『ゴジラ』シリーズを観たことがなかったんです。テレビで放送された時に何作か観たことがあるくらいで…」 浜辺「私も同じです。映画館では観たことがないけれど、事務所に入った時に1作目の『ゴジラ』のDVDをお借りして観たのが最初でした」 神木「でもあのテーマソングを聴くと、すぐに『ゴジラだ!』って認識できるくらい日常的にある存在ですよね。それにやっぱり“ゴジラ松井”さんもいますし」 浜辺「怪獣とだけ聞くと、子ども向けの映画なんじゃないかというイメージをずっと持っていたんです。でも実際に作品を観た時に、そのテーマ性や迫力を目の当たりにして、『これが愛される理由なんだな』とすごく実感しました。事務所の先輩たちも『ゴジラ』映画に出演されてきたので、いつか私も出られたらいいなとは思っていて、長澤まさみさんや大塚千弘さんみたいに小美人役に憧れたりもしました」 神木「僕は俳優の仕事をしてきても、いままで自分が『ゴジラ』映画に出ることは考えたことがなくて。だから今回お話をいただいた時には、『あのゴジラに!?』という驚きがすごく大きかったです」 ――そんなお二人が実際にこうして『ゴジラ』映画に出演されましたが、どんなお気持ちで役柄に臨んだのでしょうか? 神木「やっぱりプレッシャーは相当ありますよね…」 浜辺「戦後を描くということで、ほかの時代の作品とはまた違う緊張感がただよっていました。日本中に戦争の痛みが癒えていない時代ですので、これはしっかりと向き合わなきゃいけない。そう覚悟して典子という役に臨みました」 神木「いま世界では実際に戦争が起きていますが、僕自身は身をもって経験したことがありません。資料でしか知ることができないし、想像の世界でしかない。だから戦争で傷を負った人間をどこまで表現できるのか、俳優として大きな勝負だったと感じています。現場に行ってからも、監督と一緒に模索を重ねていきました」 ――山崎監督からは具体的にどんな指示をもらっていたのでしょうか? 神木「『もっと闇深い感じで』って言われました。抽象的ですよね(笑)。でも明確な指示がなくても、撮影中には監督のビジョンがはっきりと見えていて、それは意思疎通がちゃんとできていたからだと思います。抽象的な表現でコミュニケーションを取っても、お互いに同じほうを向いていればズレがない。それが今回の現場でとても助かった部分です」 浜辺「私は監督から、『戦後の物語だけど重くなりすぎないように』とアドバイスされたのが印象に残っています。典子は生き抜く力を持った女性であり、きっと戦争を経験するまではとてもチャーミングなところがある女性だったはず。あまり形を決めすぎることなく、言葉の強弱を意識して演じるように心掛けていました」 ■「どこまでがCGなんだろうって…。現場ではいつもその想像を超えてきます」(浜辺) ――銀座にゴジラが上陸するシーンは、浜辺さんの見せ場となるシーンの一つですよね。 浜辺「最初に脚本を読んだ時には『大変そうだなあ~』って(笑)。山崎監督の脚本はすごくト書きが多いんです。読んでいる時には想像がつかないことも多いので、撮影方法についてもどうやって撮るのか、どこまでがCGなんだろうって…。現場ではいつもその想像を超えてきます」 神木「実際に撮影を見ていたこっちは爆笑でしたけどね(笑)」 浜辺「やめてください!(笑)」 神木「ワイヤーで引っ張られながら『いやああああ!』って声出して、監督は『はいカット!ちょっと違うんだよなあ』って(笑)」 浜辺「最初は練習だったんです!正面から風をあてて後ろから引っ張られるから、アトラクションみたいな声が出ちゃって」 神木「めちゃくちゃ笑顔で吹き飛ばされていたよね(笑)」 浜辺「練習の時はすごく楽しかったんです(笑)。現場に入るまでどういう撮影方法かわからないので、その驚きもありましたし」 神木「現場に行かないとわからないことがたくさんありましたからね」 浜辺「水に飛び込むシーンも、プールで沈んだり上がったりする練習を繰り返して、その甲斐もあって撮影はスムーズに終わりました。神木さんもいっぱいアクションシーンありましたよね?」 神木「ありましたねえ。冒頭の島のシーンで吹き飛ばされる時には、ワイヤーをつけながら戦闘機から降りて走って、『せーのっ』って掛け声と共に吹き飛ばされました」 浜辺「あの『せーのっ』って難しいですよね。どうしたって構えちゃう」 神木「(ドヤ顔で)慣れているから意外と大丈夫」 浜辺「どこかに力を入れないと怪我をしてしまうじゃないですか。それを映像で見えないようにやるのが苦手で…」 神木「じゃあ今後、浜辺美波にはワイヤーアクションの映画をぜひ。(浜辺のモノマネをしながら)『私、ワイヤーアクションやりたいです!』」 浜辺「言ってない!私はそんなこと言ってないです!(笑)」 神木「でも『シン・仮面ライダー』の時にはアクションなかったんですか?」 浜辺「あの時は上から落ちるシーンがありましたが、『わー』って回っているのを庵野さんががんばって撮ってくださっていたので、こちらの力はゼロだったんです(笑)。それに神木さんが使うワイヤーって、戦う時のジャンプ力とかですよね?」 神木「そうですよ」 浜辺「私は吹き飛ばされる時にしかワイヤー使ったことないですから」 神木「じゃあ今後は戦うような強い役柄がやりたいということですね。『るろうに剣心』の時は未体験の人もゼロから練習してやっていたんで、いつかそういう時が来ますよ」 浜辺「…いつかね」 神木「絶対来る」 浜辺「観るのは好きなんですけどね…」 神木「あ、これは振りですね(笑)」 ■「ゴジラへの親近感がすごく高まって、いまでは地元に帰ってきた親友みたい」(神木) ――撮影中にはゴジラのビジュアルが見えていなかったと思いますが、どうやって恐怖を感じる演技を作っていったのかも気になります。 神木「現場に大きなゴジラの人形があったんです。でもそれ以上に役に立ったのは、西武園ゆうえんちの『ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦』でしたね。実際のゴジラの大きさや足元の感じが見られたので、それがなかったら想像するのも大変だったと思います。現場で監督が『足、来ます!』と言ったら、『ライドではこんな感じだったよなあ』と思い出して、自分に牙を剥いている恐怖に変換しながら演じていました」 浜辺「あと目線が変わった時のゴジラの見え方も勉強になりました。『ゴジラ・ザ・ライド』は地面からの視点もあれば、宙に浮いた時の視点もありますし」 神木「尻尾をギリギリで避けるとかね」 ――完成した作品でゴジラの姿を観た時にはどう感じましたか? 神木「敷島にとっては倒さなきゃいけない敵でしたけど、観客としてはもう『カッコいい』が勝っていましたね。迫力も怖さも、テーマソングが流れる瞬間も全部がカッコいい。だからみんながゴジラにハマったり、怪獣や特撮が好きになったりするんだなって改めて感じました。以前『妖怪大戦争』で主演させてもらった時に、それまで妖怪が怖くて苦手だったんですけど、すごく身近に感じるようになったんです。今回もゴジラへの親近感がすごく高まっていて、いまでは地元に帰ってきた親友みたい。『おお、元気だった?』って距離感です(笑)」 ■次の共演は「8年後ぐらいです!」 ――先日まで「らんまん」で共演されていたお2人ですが、撮影は「ゴジラ」の方が先だったんですよね?合わせるとかなり長い時間共演されていたと思います。 浜辺「もう1年半か、2年くらいになりますか?」 神木「『ゴジラ-1.0』をやってから少し間が空いて、お互い別の作品をやってから『らんまん』の撮影に入りましたね。だからざっくり2年ぐらいですかね」 ――4年前に『屍人荘の殺人』で初共演された際に、MOVIE WALKER PRESSではお二人のツーショットインタビューをやっていたんです。そこでお互いの印象について、神木さんは浜辺さんを「ドジ」、浜辺さんは神木さんを「ラスボス」とおっしゃっていました。いまもその印象は変わっていませんか? 浜辺「私、当時から口が悪いですね(笑)。でも今回の現場では全然ドジじゃなかったですよね?俊敏な動きでゴジラを倒せそうなぐらい…」 神木「当時からエッジの効いたといいますか、尖った、個性のある方だとは思っていましたが、この2年でさらに鋭利さに磨きがかかっていますね(笑)」 浜辺「それはもちろんラスボスを倒すべく成長しているところですから」 神木「その個性を無くさずに、今後も頑張ってほしいものです」 浜辺「ラスボスはラスボスでさらに強敵になっているので、こちらとしては安心感をもって無茶振りができます。でも『らんまん』を経て、なんだか人間らしさも出てきたように思います。それはそれでおもしろいです(笑)」 ――次の共演作も楽しみにしています。 神木・浜辺「8年後ぐらいです!」 神木「ほら、すぐにやると飽きられてしまうじゃないですか」 浜辺「だからみんなが忘れたころにですね…」 神木「次は僕が浜辺美波に復讐する話をやります」 浜辺「そう思っていたら、実は全部私の手のなかで転がされていたという…」 神木「それでもいいけど、最後には必ず復讐をやり遂げますよ」 浜辺「と思いきや操られていて…」 神木「そこは折れてくださいよ(笑)」 浜辺「やだよー。ゴジラを引き連れて倒しに行きますからね(笑)」 取材・文/久保田 和馬