ロシアが公表した軍高官協議の情報漏えい、ドイツは火消しに躍起
(ブルームバーグ): ロシアは「不名誉でばかげたプロパガンダ」でウクライナ支援国の分断を図っていると、ドイツが主張した。ロシアメディアはこの数日前に、ドイツのスパイ対策に疑問を呈するような情報を公開していた。
ロシアメディアは先週、ドイツ空軍高官らによる同国製長距離巡航ミサイル「タウルス」の供給を巡る議論だとする録音音声を報道。この録音音声の中では、ロシア本土とクリミアを結ぶ橋の破壊にはミサイルが何発必要かなどが話し合われていた。ショルツ独首相はタウルスの供給を繰り返し否定している。
週末にショルツ氏はこの情報漏えいを「極めて深刻な問題」だと指摘。ドイツ政府のウォルフガング・ビュフナー副報道官は4日、ウクライナ支援の主要提供国であるドイツをロシアが標的にしていることに驚きはないと語った。
情報漏えいに関する質問が集中したベルリンでの定例記者会見でビュフナー氏は、ウクライナ支援国は「プーチン(ロシア大統領)の策略にはまるべきではない」と呼び掛けた。
国防省報道官は、内部調査の完了には数日かかると述べ、ドイツ軍の内部連絡にロシアがアクセスした他の事例は承知していないと付け加えた。
この情報漏えいはドイツの政府と軍にとって大きな恥辱となっただけでなく、北大西洋条約機構(NATO)加盟国としての信頼や安全保障関連情報の取り扱いに疑問を投げ掛けた。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は4日、録音音声はドイツ軍が「ロシアの領土を攻撃する本質的で具体的な計画を協議している」ことを示したと発言。国営タス通信によると、「いわゆる集団的な西側がウクライナを巡る争いに直接関与していることが、あらためて確認された。これは疑いの余地もなく明らかだ」と同報道官は記者会見で語った。
スナク英首相の報道官を務めるデービッド・ペアーズ氏は4日、ドイツの情報漏えいについて「極めて深刻な問題だ」とショルツ首相の発言をなぞる以外は直接的なコメントを避け、「ドイツが調査する問題だ」と述べるにとどめた。