マクラーレン3台イッキ乗り マクラーレン750S/アルトゥーラ/GT 見えてくる其々のポジション
最後はマクラーレン750S
■先月ポルトガルで国際試乗会が行われたばかりの「750S」を日本で その印象をひとことでいえば、GTとアルトゥーラのいいとこ取りをしたというもの。つまり、GTの快適性とアルトゥーラを上回る軽快さを1台で堪能できたのである。 まずはその乗り心地のよさに言及しなければいけない。 前作720Sもスーパースポーツカー界ではベンチマークとされるほど乗り心地は快適だったが、750Sでは路面からのゴツゴツ感が一段と減ったうえに、サスペンションのストロークがさらに滑らかになったように感じられる。 この傾向はハンドリング・モードのコンフォートを選んだときにとりわけ強く、上質なプレミアムセダン並みの快適性を味わえる。 これには、マクラーレン独自のアクティブサスペンションで、GTやアルトゥーラには採用されていないプロアクティブ・シャシー・コントロール(PCC 第3世代となった750SではPCC3と呼ばれる)の効果もあるはずだが、PCC2を搭載していた720Sでは乗り心地がややどっしりとしてフラットな姿勢を崩さなかったのに対し、750Sでは路面の凹凸にあわせて軽くノーズが上下する点が目新しい。 ただし、その程度はごく軽く、ピッチングとして意識される範囲のものではない。また、マクラーレンのPCCをあまり経験したことのないドライバーのなかには、720Sの超フラットな身のこなしをやや不自然と感じる向きがあったので、750Sのほうが多くのドライバーから受け入れられることだろう。 さらにいえば、ハンドリング・モードをコンフォートからスポーツに切り替えれば、低速域で感じられた軽い上下動もすっと消え去るうえ、ハーシュネスへの影響もわずかなので、フラットな姿勢をお好みの方はスポーツを選ぶといい。 エンジンはGT同様、V8の高品質な回転フィールが堪能できるもの。しかも、エグゾーストノートが高音成分中心の緻密なものに生まれ変わったほか、音量も小さめで実に心地いい。それでいながら、必要とあれば0-100km/h加速2.8秒の爆発的なダッシュ力を発揮。280km/hオーバーからのフルブレーキングでもステアリング修正がほぼ要らないことは、先月エストリル・サーキットで行われた国際試乗会で確認済みである。 というわけで、長距離ドライブ好きには「GT」が、スポーツドライビングをこよなく愛する方には「アルトゥーラ」がお勧め。そして、その両方の世界を1台で手に入れるなら「750S」しかないというのが、私なりの結論である。