【選手権コラム】初出場校の快進撃。「野球でも柔道でもなく、サッカーの」東海大相模が国立へ
夏の手応えと悔恨を冬へ
2024シーズンも夏の全国高校総体へと出場。もはや夏に関してはお馴染みの顔にもなってきた感があったが、3回戦で帝京長岡高校に0-4と惨敗。有馬監督が感じた「この強度の中でやれるチームにならないとあかん」という思いは選手とも明確に共有できるもので、これが一つの転機となった。 元より「今年はちょっとサッカーを変えている」と有馬監督が語るように、従来の徹底したテクニカル志向にやや修正を加える形で冬にフィジカル面を徹底強化してきた。 選手からは歓迎ムードとはいかなかったようだが、指揮官は現代サッカーで勝つために求められる精度と強度の両立のためのベース作りにこだわった。 走りや筋トレなどのメニューを増やしただけでなく、「1対1や1対2、2対2といった練習も増やした」(有馬監督)。タフに戦えるチームを目指しての改革に努めてきた。 夏の全国高校総体では3回戦で帝京長岡高校(新潟)に0-4と大敗を喫し、あらためて「強度の重要性を選手も感じられた」ことも大きかった。悔いの残る負けを選手権に向けたモチベーションへと昇華し、初の県予選突破。選手権の舞台へと駒を進めた。 大会当初は選手権独特の雰囲気に選手たちが「慣れなかった」(有馬監督)ことで、思うようなプレーができない試合も多かった。ただ、明秀日立との準々決勝では、前半途中から「(相手を)集めてサイドチェンジ」という東海大相模らしいテクニカルなサッカーを全国舞台でも堂々と披露。タフネスを売りとする相手にフィジカル勝負となる局面でも渡り合いつつ、逆転勝利に結び付けてみせた。 「選手から『監督、これでベスト4ですか?』と言われて、『だなあ』と返して抱きつきました。夢のよう……」 そう笑った4強は、かつて東海大五のコーチとして体感したこともある国立舞台。当時は国見高校に惜しくも敗れたが、今回迎える相手は優勝候補の流通経済大学付属柏高校である。 「流経はあの大津に勝つくらいですからね。ヤバいっすよ。今日は8-0で勝った? 準々決勝ですよ? もうバレるまで12人でやるしかないな」 そうジョークを飛ばした有馬監督だが、本気でそう思っているわけでもあるまい。あの国立へ、東海大相模の名前を勝者として刻み込みにいく腹づもりだ。