ブラックストーン支援のAV企業、28億ドル調達で直接融資業者と交渉
(ブルームバーグ): 米資産運用会社ブラックストーンは、支援先の米AV(音響・映像)およびイベントサービス会社アンコール・グループが今後満期を迎える債務に対応できるよう、プライベートクレジット企業数社と最大28億ドル(約4400億円)の資金調達に向けて交渉を進めている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
調達パッケージには、プライベートクレジット市場で主流の優先と劣後を組み合わせたユニトランシェ型ローン23億ドルが含まれる可能性がある。非公開の情報だとして関係者が匿名を条件に語った。貸し手側は融資条件として、担保付翌日物調達金利(SOFR)に対する5ポイントの上乗せと、1ドル当たり98セントの割引価格を提示しているという。
ブルームバーグは、ブラックストーンがアンコールの資金調達に向けて5億ドルの優先出資証券を準備していると先に報じたが、今回の融資はそれに加わる形となる。関係者によると、調達資金はアンコールの既存債務返済に充当される見通し。ブルームバーグのデータによれば、同社は2025年と26年に満期を迎える債務がある。
協議は予備的なもので、資金調達の詳細は変更される可能性がある。ブラックストーンの担当者はコメントを控えた。アンコールの担当者はコメントの要請にすぐに返答しなかった。
今回の案件は、クレジット市場全般の強含みや、プライベートクレジット企業が集めた資金のうち、まだ貸し付けていないいわゆるドライパウダーが過去最高の規模に膨らむ中で進められている。1兆7000億ドル規模の業界の運用会社は、案件獲得のためにより安い価格を提示し主要な投資家プロテクションを放棄。より大きな融資枠を独占し、レバレッジドローン市場からビジネスを奪うために土壇場で急襲することもある。
アンコールは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で流動性不足に陥ったが、業績はその後回復。ブルームバーグの集計データによれば、同社の11億8000万ドルのタームローンの値は額面1ドル当たり99.7セント前後となっている。2020年の61セントから回復しており、投資家の楽観を裏付けている。