トヨタなど5社の認証不正『国より厳しい基準で独自に試験』その意味をわかりやすく解説 評論家・国沢光宏さん「国交省と民間が言い争いするのではなく日本がどうやって栄えていくか考えるべき」
車の審査基準は2つ 国の安全基準と抜き取り検査の安全基準
ーーーそして国沢さんによりますと、国の安全基準(国交省・型式規定)というものと、抜き打ち検査の安全基準(独立行政法人自動車事故対策機構・JNCAP)の2つがある? (国沢光宏さん)そうなんです。これはですね、世界でより厳しい基準でテストをしようという流れができまして、アメリカとかヨーロッパで独自にNCAPと呼ばれる、売っている車を抜き打ちで検査をするということをやり始めました。日本はそれがなかったので、いろんな人からなんでやらないのかという声が出て、これは国交省の外郭団体がやっているんですけど、世界と同じような基準でテストしています。これの方が基準は厳しいです。 ーーーだから基準で言うとこっちのJNCAP=独立行政法人自動車事故対策機構の抜き打ち検査の方が厳しい検査で、国の安全基準の方が低いということになる? (国沢光宏さん)そうです。最低レベルが国交省の基準で、世界レベルがJNCAPだというふうに考えていただいていいと思います。
国の主張と自動車メーカーの主張の相違
ーーー6月4日に斉藤国土交通大臣が語りました。日本の型式指定制度は、国連基準に規定された試験方法をとっているということです。しかし、3日の会見でトヨタ自動車の豊田章男会長は型式指定制度について、「制度」と「現場」にギャップがある、この制度自体をどうするのか議論になっていくとよい、不正の撲滅は無理だと思いますよ、などと話しています。この発言についてはいかがですか? (国沢光宏さん)これはですね、豊田章男さんってすごい叩かれるんですよ。全部なくしますとか言って不正が出たら責任取れとかいう話になるので、当然ながら撲滅を目指していますとそういうふうに言っていました、ただやはり出る可能性はゼロではないので、ここはもう100%保証はできないということですよね。でもすごい努力をしているし、最近は2020年に1件ありましたけど、これも内容はあまり大きな話ではないので起きていないというふうに理解していいと思います。 ーーー斉藤国土交通大臣は、国際基準だから変える余地はない、と言っているようにも聞こえるが、今後どうなる? (国沢光宏さん)今回こういう騒ぎになると、やはり見直しした方がいいんじゃないかという声がたくさん出てくると思うんですね。今まではヨーロッパとかアメリカみたいに開発スピードがそれほど高くないところが相手だったんですけど、今後は中国とか韓国みたいに開発速度の速い国と勝負するには、認証制度をもうちょっと簡素化して早くできるようにした方がいいと思います。それを今後ちょっと話し合っていくべきだというふうに思いますね。