観光業はタホの年間収入の60％を占める

（ブルームバーグ）： この夏米国では、水辺で暑さをしのぐのが例年より困難だ。 大腸菌やラン藻（シアノバクテリア）などのバクテリアが、湖や川でビーチ閉鎖を広範囲に引き起こしているためだ。気候変動によって水温が上昇し、降雨量が増えたことで問題は悪化している。

バクテリアは暖かい環境で増殖する傾向があり、1985年から2009年の間に、湖や池は10年当たりおよカ氏0.6度（セ氏0.3度）の割合で温暖化した。この変化は、これまで寒かった場所でバクテリアが繁殖するリスクを高めている。これらのバクテリアは、水疱、発疹、下痢、筋力低下、肝臓障害など、さまざまな症状を引き起こすリスクがある。大発生は生態系にも悪影響を及ぼす。

その代償は大きい。米国だけでも、有害なシアノバクテリアの発生予防や対策のために、10－20年の間に10億ドル（約1470億円）以上の費用がかかっている。

米海洋大気庁（ＮＯＡＡ）の陸水学者ケイトリン・ラインル氏によれば、大雨はしばしば、バクテリアの急増に「養分と燃料」を提供する。豪雨はリンや窒素を湖や川に流し込むことでバクテリアの繁殖を促し、熱波はバクテリアや藻類の成長を促進する。

水質に対する最も一般的なバクテリアの脅威の一つが下痢原性大腸菌であり、この細菌は暖かい環境で増殖する。月平均気温がセ氏１度上昇するごとに、その発生は８％増える。

フロリダのような歴史的に暑い気候では、降水量がシアノバクテリアの大発生を引き起こす最大の要因だ。しかし、気温の上昇は、通常シアノバクテリアの大発生とは無縁の冷涼な気候の水域にも影響を及ぼしている。マサチューセッツ州では、８月16日現在で55カ所のビーチが閉鎖され、シーズン記録を更新した。バーモント州のシアノバクテリア・トラッカーでは、現在40以上の警告が出されている。

澄んだ水で有名なタホ湖でさえ、この夏の初めに有毒藻類の発生を警告する兆候が見られた。この警報は誤報だったが、本物の大発生の危険性はある。藻の大発生は近年ますます問題になっており、タホ湖のネバダ州沿岸の池からは、湖とはつながっていないものの、危険な毒素が検出された。