フランス料理の始発点で日本人が星を獲るには何が必要なのか?!『映画 グランメゾン・パリ』
、”フランス料理”とは何なのか
ただ、早見倫子(鈴木京香)が新型コロナに感染した過去があることに少し触れており、その点はコロナ禍を経験した後が描かれているドラマスペシャルとの繋がりがあるのかもしれない。いずれにせよ、遠すぎず、近すぎずといった距離感なのだろう。 それはさておき、作品のテーマとして、”フランス料理”とは何なのかに焦点が当たっていたのは非常に良かった。そもそもフランス料理というのは、異国の食材や文化が交じり合って作られているといわれているように、型にはまるよりも、いかに型を崩しながらも、フランス料理の”信念やルーツ”に従って探求し、アジア人として、異国の地で頂点を極めることができるかに挑戦していく、そんなチーム・グランメゾンの奮闘は見応え十分。 監督の塚原あゆ子は、ドラマ版の演出をしてきたひとりであり、先日最終回を迎えた『海に眠るダイヤモンド』なども手掛け、『ラストマイル』(2024)や2025年2月公開の『ファーストキス 1ST KISS』など、映画作品も話題になるだけのことはあり、ドラマの延長線上といった印象はなく、単独作品としてのクオリティを保っている。 それに加え、脚本は、ドラマ版もそうだが、最近でいうと、フジテレビ系列ドラマ『全領域異常解決室』や『ONE PIECE FILM RED』(2022)などを手掛けるヒットメーカー黒岩勉が続投している。 ドラマの劇場版は、ドラマ視聴者が最初から付いていることもあって、大きな失敗がないとは言われるし、そもそもの企画基盤は、今もそこにあるのかもしれない。しかし、それぞれの作品で、クリエイターたちの底力を感じる作品が多くなってきたように感じる。 【ストーリー】 「グランメゾン東京」が日本で“三つ星”を獲得してから時が経ち、尾花夏樹(木村拓哉)は早見倫子(鈴木京香)と、フランス料理の本場・パリで、新店舗「グランメゾン・パリ」を立ち上げ、アジア人初となるミシュラン“三つ星”を獲得するために奮闘していた。名だたる巨匠たちがしのぎを削る本場フランスで、フランス料理で “三つ星”を獲得することは、尾花にとっての悲願。だが異国の地のシェフにとっては、満足のいく食材を手に入れることにすら高い壁があり、“三つ星”に選ばれるなど夢のまた夢。「グランメゾン・パリ」は結果を出せない日々が続いていた。そしてあるガラディナーでの失態が原因で、かつての師と「次のミシュランで三つ星を獲れなければ、店を辞めフランスから出ていく」という約束を交わしてしまう…。 【クレジット】 監督:塚原あゆ子 脚本:黒岩勉 出演:木村拓哉、鈴木京香、オク・テギョン、正門良規(Aぇ! group)、玉森裕太(Kis-My-Ft2)、寛一郎、吉谷彩子・中村アン、冨永 愛、及川光博、沢村一樹ほか 料理監修:小林圭(Restaurant KEI) Cheering Song:「Santé」山下達郎(ワーナーミュージック・ジャパン) 制作プロダクション:TBS SPARKLE 配給:東宝、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 公開日:2024年12月30日(月)全国公開 (C)2024「グランメゾン・パリ」製作委員会
バフィー吉川