日本のアニメが海外の優秀な人材を集める装置に!? 留学生とサブカルチャーヘゲモニー【「新型コロナウイルス学者」の平凡な日常】
■日本のアニメはすごい! 2022年の後半、海外から日本への渡航のハードルが下がった時期から、海外からのインターンの学生を受け入れる機会がとても増えた。インドネシアなどのアジアの国々だけではなく、フランスやイギリス、スウェーデンなどからも受け入れた。 そのたびにウェルカムパーティーやフェアウェルパーティーを開催したりしていたのだが、あるとき、「なんで君たちはそんなに日本語ができるの?」と訊いてみたことがある。返ってくる答えはだいたい同じで、彼らはアニメやアイドル、J-POPなどの日本のサブカルチャーから日本語を学んでいるのである。 というよりも彼らは、まずはじめに日本のサブカルチャーを好きになり、そこから日本という国に興味を持ち、そこに行ってみたい、留学したい、そのために日本語を覚えたい、と考えるに至っているようである。 つまり、日本のサブカルチャーが、優秀な海外の学生や博士研究員を集めるためのひとつの装置になっている、ということになる。 しかし最近では、ポップミュージックについてはもはや言うまでもないが、アニメや漫画のジャンルでも、韓国や中国などに人気を奪われつつあると聞く。GDP(国民総生産)や給与待遇はもとより、サブカルチャーの覇権まで失ってしまえば、いよいよ日本は、海外から人材を集めることが難しくなることは想像に難くない。 これは、「きちんとした『仕事』をしていれば人は集まるはず」などという綺麗事で片付けられる話ではない。ここでの「仕事」には、どんな言葉でも大抵当てはまると思う。 「サイエンス」然り「ウイルス学」然り、明るい未来を描くためには、優秀な人材が不可欠である。そして、その人材が明るく楽しく働くことができる環境を整えることが大切であることは、誰しもが認めるところかと思う。しかしポイントは、そのための綺麗事ではないhow toにあるのではないだろうか。 文・写真/佐藤 佳
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