〈結局、誰に投票すればいい?〉過去最高の候補者56人が乱立する都知事選「候補者が多いことにメリットはない?」「売名目的が多すぎる」
子育て世代は「長期的な視点」が重要も…
では、先述した「自分の立場」での決め方について、子育て世代・現役世代・高齢者・若者など、各属性が注目すべきポイントは。 「まず子育て世代について、学校給食費や医療費の無償化、子育て支援の助成金など、目先の支援体制も気になるところですが、長期的な視点で見ることも大切です。子どもたちに何を残してあげられるのか。子どもたちが大人になったとき、豊かで文化的な暮らしができることが大切です。 その上で、今、東京ではあちこちで商店街や森をなくし、商業施設や高層マンションを建設するプロジェクトが進められていますが、本当に商店街や森をなくしてもいいのかということも争点となっています。 子どもたちに何を残し、何を新しくするのか。親世代が懐かしむ原風景を子どもたちにどれだけ残すのかという視点でも、ぜひ考えてみていただきたいと思います」 高齢者に関しては、分断を煽る候補者への警鐘も鳴らしている。 「最近『もっと若い人たちや現役世代のために税金を使うべきだ』と主張する候補者が増えています。 しかし、東京都で暮らしているのは若い人たちや現役世代だけではありません。今は年金暮らしの高齢者たちも、長らく税金を納めてきたはずで、十分に義務を果たしてきたのではないでしょうか。 高齢者政策を切り捨てず、高齢の都民も幸せに暮らせるように税金を使う候補者は誰なのか。世代間の分断を煽り、まるで高齢者に長生きしてもらっては迷惑であるかのように言うような候補者に投票してはいけません。 若い人にも政策を届けなければなりませんが、その代わりに高齢者を冷遇する必要はありません。高齢者向けの福祉を充実させようと思っているのかどうかを確かめることも大切でしょう」
現役世代と若者は“お金”がポイント
現役世代と若者に関しては、ともに“お金”がポイントになるとちだい氏は指摘する。 「現役世代が注目すべきは『税金の使われ方』だと思います。多くの庶民は、毎月の給料からセコセコと税金が引かれています。その引かれている税金が、しっかりと子育てや教育、福祉といったものに使われているのかどうかが重要です。 庶民から取った税金が、子どもたちや困っている人たちのために使われるならともかく、どこぞの利権のために使われているのだとすれば、庶民からの税金が一部の金持ちに流れていることになり、頑張って働いている我々の生活が苦しくなる一方で、ろくすっぽ働いていない金持ちの生活がよくなるばかりです。こんなにバカバカしい話はありません」 例えば、オリンピックを理由に築地市場を移転したが、その跡地には高級マンションが建設された。投資目的で購入する海外の投資家たちが乗っかり、都の財産でお金儲けをする金持ちが続出しているという。 日本の金持ちのためでもなく、海外の金持ちの投資のために税金が使われていることにも目を向け、税金で誰が得をしているのを見定める力が必要だと、ちだい氏はいう。 「また現在、若者たちは貧困が深刻です。貯金がある若者はほとんどおらず、それどころか、奨学金の返済に追われる若者たちの人生設計が非常に難しくなっています。 少子高齢化が進んでいる原因もここにあります。若者たちに手厚い政策をしないと、東京であっても少子高齢化が進み、人口が減少していくことになります。 今後、さらに東京一極集中が進み、地方から東京に若者が集まるようなことになっても、それでは地方の過疎化が急速に進むだけで、日本全体としては著しく経済が衰退することになります。 若者たちに“稼げる”環境を整えてくれるのかどうか」と、都知事が少子化・経済といったマクロな問題に与える影響も解説している。 さらに、「LGBTを含む性別や国籍(出身)などによって差別されないことが、東京で働く若者たちの処遇改善につながります。自分たちの個性がどれだけ尊重され、人生を豊かなものにできるのか。こうした政策を実現してくれるのが誰なのかを見比べることも大切です」と多様性の尊重についても語った。