【インターハイ男子注目選手】瀬川琉久(東山)「華麗かつ泥臭く、チームを勝利へ導くエースに」
バスケどころ、福岡市で開催される「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」が8月4日に開幕。間もなくパリオリンピックが開幕されるが、北部九州インターハイに出場する未来のオリンピアン候補を紹介していく。 文・写真=田島早苗
■様々な経験を糧に世代最強プレーヤーへ
優れたドリブルワークをもとにドライブを仕掛け、ブロックショットをクラッチで交わしながら軽々とシュートを放つ。ほかにも3ポイントシュートやリバウンドシュートなど、多彩な攻撃パターンを持つのが東山高校(京都府)の瀬川琉久(3年)だ。 中学時代は本山南中学校(兵庫県)の3年次に全国中学校大会で優勝(新型コロナウイルス感染症の影響で4校同時優勝)。冬に行われたジュニアウインターカップでもゴットドアの点取り屋として優勝に輝いた。 そして進学した東山でも1年生のころから主軸を担ったが、当時はインターハイ、ウインターカップと全国大会への出場はならず。それでも2年生となった昨年は前年のうっぷんを晴らすかのようにインターハイで決勝へと駆け上がった。残念ながら決勝では日本航空高校(山梨県)の勢いを止めることができずに敗戦。ウインターカップでは福岡第一高校(福岡県)に準々決勝で競り負けてベスト8となり、好成績を残した1年であったにも関わらず、目標としていた全国の頂点を極めることができなかった。 迎えた今年、瀬川は2月にインディアナポリスで行われた「バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ・グローバルキャンプ(BWB)」に参加すると、日本代表活動でも3月末から4月上旬にかけてドイツで開催された「アルバート・シュバイツァー・トーナメント」にU18男子日本代表として出場。5月20日から30日までは、今後の継続的かつ将来的な男子日本代表チームの強化を目的として開催された「第1次強化合宿(ディベロップメントキャンプ)」のメンバーに名を連ね、Bリーガーや大学で活躍する選手に混じって汗を流した。 「練習の取り組み方、姿勢、ペイントエリア付近での止まり方など、トムさん(ホーバスヘッドコーチ)が口酸っぱくおっしゃったことは(東山の)みんなにも伝えるべきことだと思いました」と、同キャンプでは大きな刺激を受けた瀬川。加えて、「相手ディフェンスのフィジカルは今までは体験したことないような強さがあって苦戦したので、今後(高校に)帰ってからしっかりウエイトしたり、バランスを整えたりしてやっていきたいです」と、課題も明確となった。 一方ホーバスHCは瀬川のプレーについて「ショックだった」と表現。「あの歳で周りが見えているし、フィジカルでも負けていない。加えて、高校生なら間違って攻め急いでしまうことが当たり前なのに、彼は急がない。本当に将来が楽しみです」と、手放しで高評価を与えた。 そうした国内外での様々な経験を自らに、そしてチームへと落とし込み、高みを目指してきた。6月の「第71回 近畿高等学校バスケットボール大会」では京都精華学園高校(京都府)との決勝で31得点を奪取。ゲームコントロールだけでなく、得点力もいかんなく披露して優勝へとけん引した。 そんな瀬川に対し、指揮を執る大澤徹也コーチは、「彼の得点力はマストなので、それ以外のチームに影響を与えられるようなキャプテンシーなどを期待したいです。ディフェンスでも最上級生として泥臭いことをやってほしい。そういったことをやり切れるようになってから、もう一つ上のステージにいってほしいですね」と、期待があるからこその言葉を発した。 「優勝を目指します」というインターハイでは、コーチたちの思いも受け、瀬川は東山のエースとして頂点を目指す。
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