無呼吸症の医療器具、実は日本でも「健康被害」が発生していた
日本でも起きていた「健康被害」
だが、防音材の劣化が原因と疑われる健康被害は、日本でも起きていた。 医療の「安全対策」を担うPMDAのトップページから6回クリックすると、『不具合が疑われる症例報告に関する情報』という検索ページにたどり着く。医薬品医療機器法の改正で2004年度から、製造販売業者が器具の不具合が原因と疑われる健康被害などを知ったときにはPMDAに報告するよう義務付けられ、公開されているものだ。 CPAPで発生した問題を「防音用発泡体の劣化の疑い」に限定して検索をかけると、84人分の症例がずらずらと出てきた。内訳はCPAPのうち「持続的自動気道陽圧ユニット」で83人、「持続的気道陽圧ユニット」で1人。いずれも2021年度と2022年度(2023年1月まで)に報告されたデータだ。企業名は公表しておらず、このうち何人がフィリップスのCPAPによるものかは正確にはわからない。日本のフィリップスに確認を求めても、「回答できない」としているためだ。しかし、フィリップス以外に「防音用発泡体の劣化の疑い」が発覚し、自主回収をしている企業はない。 この84人のうち、すでに健康被害が出ている患者は49人。残る35人は、器具を使い続ければ「健康被害が起こる可能性が否定できない」とされる事例だった。 すでに健康被害が出ている49人は、男性が34人、女性が12人、不明が3人。年齢別では不明の15人をのぞくと70歳代が11人、40歳代が7人、50歳代と60歳代が各6人で、大半を40~70歳代が占めた。回復・軽快した患者は14人に止まり、未回復が20人、不明が15人となっていた。 どんな健康被害が出ているのか。「患者等の有害事象」欄をみると、こんな言葉が並んでいた。 「頭痛」「咳」「鼻炎」「喘息」「気道炎」「肺腫瘍」「腎盂がん」「肺機能障害の疑い」… 米国で警告され、確認されている症例とそっくりだった。 (つづく)