薬物事件捜査中のパトカーを妨害、車で衝突や割り込み相次ぐ…逃走の手口広まっている可能性
薬物事件を任意捜査中のパトカーを車で妨害するケースが今年、福岡県内で相次いでいる。県警は今月、福岡市で交際相手への捜査を妨害して警官を負傷させたとして男を逮捕。9月にも川崎町で同様の事案が起きており、いずれも強制捜査の前の段階で、強引に逮捕を免れようとしたとみられる。
6月6日午前2時頃、福岡市城南区の国道202号。覚醒剤使用が疑われる女(26)が乗るタクシーをパトカーが追跡中、左側から前に割り込んできた乗用車と衝突。乗用車とタクシーはそのまま走り去った。
乗用車を運転していたのは自称福岡市の無職の男(25)で、女の交際相手。女は事故前、志免町で警官から職務質問を受け、任意の尿検査に応じずにタクシーに乗った。一緒にいた男は車でその場を去ったが、別の車に乗り換えて妨害してきたという。
男は7月、熊本県内でこの女に対する傷害容疑で現行犯逮捕、起訴された後、福岡県警が今月2日、自動車運転死傷行為処罰法違反(無免許危険運転致傷)容疑などで逮捕した。
女はその後、令状に基づく強制採尿を経て6月に覚醒剤取締法違反(使用)容疑で逮捕。8月に福岡地裁で懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けた。
一方、9月には川崎町の商業施設で、警官が薬物使用が疑われる女(42)に職務質問し、任意で田川署に来てもらうことになった。女が乗った知人の車をパトカーで追従していたところ、女の交際相手の男の車が前に割り込み、2台とも逃走。同署は同30日に女を覚醒剤取締法違反(所持)容疑で、妨害した糸田町の無職の男(49)ら2人を公務執行妨害容疑でそれぞれ逮捕した。
県警は薬物犯罪グループの間で同様の逃走の手口が広まっている可能性もあるとみており、各部門で連携しながら捜査している。