「一歩踏み出せた」2か月遅れの新年の響き…“御陣乗太鼓”打ち初めで大勢の観衆魅了
北陸放送
地震は能登で400年以上受け継がれてきた伝統芸能にも大きな影響を与えています。地元・石川県輪島市名舟町を離れた御陣乗太鼓保存会が3日、白山市で2か月遅れの打ち初め式を行いました。復興の願いを込め力強い太鼓の音が境内に響き渡りました。 【写真を見る】「一歩踏み出せた」2か月遅れの新年の響き…“御陣乗太鼓”打ち初めで大勢の観衆魅了 2月18日、白山市の浅野太鼓楽器店で場所を借り、今年初めての練習に打ち込む御陣乗太鼓保存会のメンバー。 「なんでこうなる」「みんな一緒なこと思とる(笑)」「そこ、力抜けま。…そうそう」 ■“名舟町で生きる男”だけが打つことを許される太鼓 輪島市名舟町で400年以上受け継がれている御陣乗太鼓。輪島高校3年の南雄輝さんはこの御陣乗太鼓を10年間続けてきましたがこの春、富山県内への就職を機に一旦、区切りを付けます。いつか名舟町へ帰ってきた時のためにと、先輩から南さんへの指導はとくに力が入ります。 「ここにぐっと力入れりゃ…そうそう。筋肉が上にあがるがや。見とる人も筋肉あるな、ごつい体しとるなとわかる」 1月2日に毎年、地元の神社で開いていた打ち初め式は地震で中止に。今年は名舟町から150キロ余り離れた白山市の白山比咩神社で行われることになりました。 避難生活で練習不足となっている南さんの手には… 「なんやお前こんだけでマメできたんか?うそやろ」「…皮むけただけです」「まだまだやな」 ■「まさかこんな沢山の方が…」復興への願い込め全力尽くす そして迎えた打ち初め式当日。 南雄輝さん 「先輩方から言われたことをしっかり意識して、しっかりやって観客に見せたいと思っています」 拝殿の前にはにこの日を心待ちにしていた大勢の観客が詰めかけていました。午前11時半、いよいよ今年最初のお披露目、太鼓の周囲で見えを切り、代わる代わる荒々しい音を轟かせます。 江尻一希さん 「2周目は交代しますよ、足滑って周れんようなるから」 溶けた雪で濡れた石畳の上は滑りやすいため、状況を伝えあい対応、メンバー同士でフォローしあっていました。 江尻一希さん 「柱もあるし石畳で滑るし、どこかで調整する。雄輝はまだ経験しとらんもんで」 この2か月、そろって顔を合わせることもままならなかったメンバーたち。しかしブランクを感じさせない迫力あふれる舞いが観客を圧倒していました。