静岡県内大雨 熱海・網代で12時間雨量観測史上最大 交通機関に乱れ 道路冠水も
前線と低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で静岡県内は18日、大気の状態が不安定になり、伊豆や東部を中心に激しい雨が降った。熱海市網代では午後5時50分までの12時間雨量が観測史上最大の255・5ミリとなり、1時間や72時間の雨量で、6月の観測史上最大値を超えた所もあった。交通機関の乱れや道路の冠水、通行止めなどが多数発生した。 気象庁の観測によると、伊豆市湯ケ島で午後2時ごろまでの1時間に64・5ミリの非常に激しい雨が降り、6月の最大を更新した。午後7時までの24時間雨量は伊豆市湯ケ島で310・5ミリ、南伊豆町で211・0ミリなどと4地点で6月の観測史上最も多くなった。 県のまとめによると、伊豆市で床下浸水が2件発生した。清水町の沼津商業高では裏山が幅5メートルにわたって崩れ、敷地内の庭に流れ込んだ。県教委によると、授業短縮の措置を取っていたため、生徒や教員にけがはなかった。 国道414号や同136号など、伊豆半島を中心に冠水や雨量規制による通行止めが46カ所で発生した。 JR東海によると、東海道線、身延線、御殿場線の上下線で正午ごろから運転本数を減らして運行し、一部電車で運転を見合わせた。身延線と御殿場線の特急も一部運休した。東海道新幹線でも、熱海―新富士間の雨量計が規制値に達し一時運転を見合わせ、上下線で遅れが生じた。伊東線や伊豆急行、伊豆箱根鉄道も全区間や一部区間で運転を取りやめたり、見合わせたりした。 県と静岡地方気象台は降り続く雨で土砂災害の危険性が高まっているとして一時、下田市や沼津市、御前崎市、清水町など15市町に土砂災害警戒情報を発表した。 下田、伊豆の国、熱海、伊東、三島、沼津、南伊豆の7市町は全域や一部地域に避難指示を出した。沼津など3市で19世帯27人が一時、避難した。 ■静岡県東部・清水町の保育所は一時孤立 県東部では道路の冠水や土砂崩れが相次いだ。清水町の保育所は一時孤立し、園児の帰宅が遅れるなどの影響が出た。 同町徳倉では町立南保育所前の町道が約100メートルにわたって冠水し、保護者が園児を迎えに行けなくなった。施設関係者が水に漬かりながら子どもを抱えて運び、保護者に引き渡す姿が見られた。町によると、最終降園時間の午後6時になっても園児約30人が施設にとどまった。近くの避難所に移り、午後8時までに全員帰宅した。 沼津市は中心部の通称三つ目ガードや土砂崩れが発生した県道沼津土肥線などが通行止めになった。同市大平では冠水した道路に進入した車が流された。運転していた女性は近くの高齢者施設関係者の手助けを受けて脱出した。清水町の沼津商高裏側の山も崩れ、土砂が校舎にかかった。
静岡新聞社