深い眠りをサポート…韓国スタートアップが手掛ける「脳科学に基づく睡眠アプリ」
【10月29日 KOREA WAVE】「朝起きるのがとてもつらい。1日中疲れて仕方ない」「昼間いつも疲れているので、夜ぐっすり眠りたい」――。 仕事が多すぎたり、布団に入ってもなかなか寝付けなかったりして、睡眠不足に悩む人が増えている。YouTubeにも睡眠を助ける動画があふれている。 そんな、睡眠に関する悩みを抱える人々のためのサービスがある。脳科学に基づいた睡眠アプリ「ナイトリー(Nightly)」。睡眠に関するアプリを開発する韓国の「ムニス(Munice)」が手掛ける。 ナイトリーは脳波音を使って睡眠を改善する。このサービスで提供される「モノラル・ビート」(脳波を特定の周波数に同期させるための音波の組み合わせ)を聞くことで、深い睡眠をサポートする。深く眠るほど、翌日に感じる疲労感も自然と減る。延世大学応用脳認知科学研究所によると、就寝中にナイトリーのモノラル・ビートを聞いた結果、深い睡眠の脳波が約18%増加したという。また、韓国科学標準研究院の研究によれば、ナイトリーのモノラル・ビートを聞いた結果、深い睡眠の割合が約56%上昇し、疲労感も57%減少したという。 人間の脳では、ガンマ波、ベータ波、アルファ波、シータ波、デルタ波の5種類の異なる脳波が発生する。このうち睡眠時に出るのは、アルファ波からデルタ波の間の脳波だ。モノラル・ビートは、脳波を睡眠時の脳波に同期させることで、深い睡眠を誘導する。 ムニスのクォン・ソヒョン代表は約2年半前にナイトリーをリリースし、利用者を着実に増やしてきた。その結果、世界中で52万人がナイトリーを利用している。アプリストアのフィットネスアプリ部門で1位を達成し、現在も成長を続けている。クォン代表はこれに満足せず、「この市場にも限界が来るかもしれない」という考えから、グローバル展開を積極的に進めている。海外市場を本格的に攻略するため、投資資金を調達し、チームビルディングもほぼ完了したという。 ◇世界共通の課題 ナイトリーの特徴は、利用者がどんな気分か、何をしたのか、睡眠に影響を与える要因は何かといった情報を収集し、個々に最適なモノラル・ビートを提供する点だ。一般的なモノラル・ビートを一歩進化させ、睡眠誘導に最適化された「レイヤードモノラル・ビート」を提供する。クォン代表によると、ナイトリーは個別化のためのデータセットを100万件以上保有しており、睡眠傾向やパターン、評価などを総合した週間睡眠レポートも提供する。 クォン代表が起業した背景には、自身も不眠症を患ったことがある。誰かがこの問題を解決してくれたらと思い、最初はサークル形式で活動を開始した。すると、投資したいという企業が現れ、現在までに3回、資金調達した。 「最初は誰もがそうであるように、お金や名誉、自分のキャリアに一線を引きたくて始めた。でも、2つのことが重要になった。1つは、この仕事に意味を感じること。『いいことをしているんだな』という思いだ。そして、仲間と働くのがとても楽しかった。二つ目は、多くの客が私たちのサービスに感動し、幸せになって変わっていくのを見て、やる気が湧いてきたことだ」 クォン代表の目標は、世界一のスリープテックサービスになることだ。「良い眠り」は韓国内外で共通する目標であり、それが当たり前の世界を作るというプランを描く。そのための、主体性と責任感を持つ人材の発掘を試みている。 「必要なのは、品質を向上させ、問題を自ら定義し、それを解決するために最後まで努力する責任感のある人材だ。会社の成長と自分、チームの成長にプラスの影響があるなら、適切に資金を使ってよい」 当のクォン代表は、実際はあまり眠れていない。インタビュー当日も米国出張を控え、夜遅くまで仕事をしていたという。 「他人の睡眠を助けるために、自分たちの睡眠を返上している。スタートアップなので毎日が緊急事態で、予期せぬ問題が発生することもある。大変だが、一つ一つ変えている。毎月16%ほど定期利用者が増えている。睡眠問題だけは、世界で最も上手に解決したい」 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
KOREA WAVE