エコノミストが解説 英国民投票結果と判明時刻予想 そして市場はどう動く?
結果判明時の反応<離脱の場合>
IMMデータ(投機筋の持高を集計したもの)でGBP(ポンド)のポジションを確認すると、EU離脱の国民投票が近づくにつれてGBPショートポジションが膨らんでいますが、それほど偏っているわけではありません。また、今週に入ってGBP/USDは6月入り後の下落の大部分を取り戻しているため、その反動は不可避でしょう。
株式市場では、英国株を中心に世界的な株安が観察されそうです。為替市場ではUSD/JPYが103を割れて一気に100割れを試す可能性がありますが、その場面では日本政府の為替介入が意識され、下げ止まる可能性が高いとみています。USD/JPYがあっさりと100を割れる可能性は低く、また仮にそうなれば日本政府が介入に踏み切るでしょう。市場の意に沿う形で残留となった場合、不透明感の後退から金融市場ではリスクオンとなりそうです。
結果判明時の反応<残留の場合>
株価は世界的に上昇が見込まれ、為替市場ではGBP高が想起されるほか、EUR、CHF、SEKといった欧州通貨に買いが波及、反対にJPYは売りが膨らみそうです。USD/JPYは107程度(約2%)まで上値を伸ばし、6月の日銀金融政策決定会合前の水準を回復するでしょう。日経平均も1万6000円台後半まで上値を伸ばす可能性があります。 もっとも、こうしたリスクオンが持続的な動きになるかについては不透明感が強く、その後は米国をはじめとする世界経済の動向に関心が向かと思われます。各国の経済指標の公表が本格化する月末から第2週にかけて方向感が決まりそうです(6月米雇用統計は第一金曜ではなく第2金曜日の8日に公表)。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。