『雨の中の慾情』成田凌、東京国際映画祭でお忍び鑑賞&急遽ステージに登壇!「強烈な仕事ができて幸せ」片山慎三監督とのタッグに充実感
現在開催中の第37回東京国際映画祭(TIFF)にて11月3日、「コンペティション」部門作品『雨の中の慾情』(11月29日公開)の上映がTOHOシネマズ日比谷で行われ、Q&Aセッションに片山慎三監督が出席。観客と一緒に映画を鑑賞していた主演の成田凌も急遽参戦し、「なんでも聞いてください」と会場からの質問に答えた。 【写真を見る】急遽ステージに登壇し、『雨の中の慾情』Q&Aセッションに参加した成田凌 長編映画デビュー作『岬の兄妹』(18)で日本映画界に衝撃を与えた片山慎三監督が、伝説の漫画家、つげ義春の短編漫画を映画化した本作。2人の男と1人の女のせつなくも激しい性愛と情愛が入り交じる、独創性溢れる数奇なラブストーリーだ。劇中のほとんどのシーンを台湾にて撮影。昭和初期の日本を感じさせるレトロな町並みが多い台湾中部の嘉義市にてオールロケを敢行した、情緒あふれる映像世界も大きな魅力の一つとなっている。 まず本作の成り立ちについて片山監督は、「プロデューサーが『つげ義春さんの原作を、片山監督が台湾で撮影をしたらおもしろいものができるんじゃないか』と言ってくれた。つげ義春さんの漫画は映像化もされている名作がたくさんある。僕も、台湾で撮ったら新しいものができるんじゃないかなとその話に乗りました」と笑顔を見せた。同企画をとても魅力的に感じたという成田は、「片山さんの作品はいくつも観ていて。本当に気合いが必要で、生半可な気持ちではできない」と片山監督の作品に飛び込むには覚悟がいると話しながらも、「俳優という仕事をやっていたら、こういう監督と一緒にやりたいというのが普通かなと思います」と熱意を口にしていた。 上映後のQ&Aセッションとして、2人が観客からの質問に答えたこの日。夢と現実を行き来するような展開のなか、売れない漫画家の義男を演じた成田には役作りで大切にしたことについて質問が上がった。成田は「義男が、どれだけ自分について理解して行動しているのか。そのバランスを、監督と相談しながら演じていました」と明かしつつ、「あとはとにかく痩せています」とにっこり。「中国映画を観ているような感覚になった」と感想を語る観客もいたが、片山監督は「義男の頭のなかの世界は、自分のなかでは1942年の中国を舞台にしている。それでそう感じてもらったのかなと思います」と明かしていた。 『さがす』(22)や「ガンニバル」などで片山監督とタッグを重ねている池田直矢が、撮影監督を務めた。片山監督は「カメラマンの池田さんは、デビュー作になる予定だった映画のパイロット版のような作品も一緒に作っていて。もちろんカメラマンとしてもすごく上手だし、自分の思い描いた絵を撮ってくれる方」と池田への信頼感を吐露。「作品全体についてプロデュース的な視点で見られる、視野の広いカメラマンなのですごく頼りになると思っています」と心強いパートナーだという。 片山監督は「こうやってお話できるのはありがたいこと」と観客と対話できる機会に感謝しきり。「いま(映画を観客と)一緒に観させていただいていた」と切り出した成田は、「2回目に観ると、また違う見え方をするなと思いました」と新たな発見もあった様子。「強烈な仕事ができて幸せだなと思います。お客さんと一緒に観られる機会はなかなかない。満席にしてくださってありがとうございます。すごくいい時間を過ごさせていただきました」としみじみと語っていた。 取材・文/成田おり枝