肌にも環境にも優しい。UNDERSON UNDERSONが開発した和紙素材「WASHIFABRIC®」の可能性
ー話を伺っていると開発・商品化まで順調だったように思えます。 いえ、開発は本当に大変でした。生地を円筒状に織り込む丸編機を使うと糸切れしたり、横方向にスジが入ったりして、思うような仕上がりにならないことが多々ありました。 特に、糸切れの原因は湿度も関係しているので、夏だけしか織れないということになりかねません。そこで保管場所の湿度管理を徹底しました。糸の染色も、出来の悪い糸だと染めムラが出ることもあって、調整が大変でしたね。 ですが、この開発には和紙研究の長年の知見が見事に反映されています。 通常の綿と違い、「WASHIFABRIC®」は職人がつきっきりで管理しなければならず、繊細な子どもを育てているような気持ちになりました。あらゆる工程で手間がかかり、それがコストとして跳ね返ってくるので、そこをどう抑えるかにも頭を悩ませました。
日本の職人芸だからこそ
ー「WASHIFABRIC®」には、多くのこだわりが詰まっているように感じました。素材面での特徴を教えてください。 アンダーウエアのような肌当たりのやわらかさと風合いを意識したものには、カナダの針葉樹を扱っています。そのなかでも、僕らは端材を中心に使用しています。 一般的に、育った木は建材として使用され、余った木材や端材はチップになります。このチップから取り出されたセルロースが和紙の材料になります。また同時に取り出されるリグニンは、バイオマス燃料としてボイラーで使われます。 そのボイラーから排出されるCO2を森林が吸収する。こうした循環の一部に、和紙の素材があるんですね。ですから、僕は和紙が世界で一番サステナブルな素材だと思っています。
ー針葉樹以外にも使われている木材はありますか。 アウターやデニムには、天然素材のアバカを使っています。別名、マニラ麻と呼ばれていて、東南アジアで自生している品種です。 3年草としても知られていて、成長が早いのも特徴です。機能的に針葉樹と大差はありませんが、アバカの方が硬く、しっかりした生地感を出せるのが特徴です。