肌にも環境にも優しい。UNDERSON UNDERSONが開発した和紙素材「WASHIFABRIC®」の可能性
人の肌に優しいだけでなく、環境負荷にも配慮した素材とは何だろうか。 それを突き詰めたブランドが、UNDERSON UNDERSON(アンダーソンアンダーソン)だ。同社のTシャツや下着には、自社で開発された「WASHIFABRIC®」が使われている。その名の通り、和紙で衣服が編み立てられているのだ。
なぜ和紙なのか。そもそも和紙が糸になるのか、洗ったら溶けてしまうのか。いろいろな疑問が出てくるだろう。そこで今回、ディレクターでありチーフデザイナーの中西孝史さんに取材し、同社の日本の伝統技術や文化を生地に落とし込むスタイルについて語っていただいた。
日本伝統素材との出合い
ーUNDERSON UNDERSONのブランドの成り立ちについて教えてください。 僕たちのブランドを代表する「WASHIFABRIC®」の始まりは、2017年のことです。当時、社内にスポーツラボがあり、靴のアッパー素材として和紙を使ってはどうかという提案がありました。 そこから企画が始まったのですが、なかなか形にすることができず、別の商品に応用できないかと考えたのです。和紙の機能を調べてみると、肌着がベストだと気づきました。そこから開発が始まり、2019年にブランドを発足しました。 創業者は株式会社マッシュスタイルラボ代表取締役社長の近藤広幸で、私たちが形にしています。コンセプトは「和紙が作る健やかな肌」。肌が触れるほぼすべての生地が、和紙になるように設計された特許素材を採用しています。
ー和紙の機能とは、どういったものなのでしょうか。 消臭や抗菌防臭、吸水速乾・吸放湿性に加えて、帯電防止やUVカット機能などがあります。また、肌との相性も良く、余分な汚れや皮脂を吸着してくれます。 このなかで注目したのは吸放湿性です。僕らは「日本家屋の知恵をまとう」と伝えているのですが、障子や襖がちょうど良い湿度に保ってくれるように、生地にも同じ機能を持たせることができました。 ー日本ならではの素材を見直すことから、「WASHIFABRIC®」の開発が始まったのですね。 僕らが開発した「WASHIFABRIC®」は、ポリエステルの周りを和紙で覆った糸になります。 使われている和紙は、厚さが0.2mmで平米10gという非常に薄いもので、これを幅1.2mm、120本にカットしていきます。それを紙管で巻き取ったあと、ポリエステルと一緒に撚りをかけていきます。 和紙なので強度を心配されるかもしれませんが、芯はポリエステルに伸縮性を持たせ、和紙を使っても、化学繊維やコットンと同じように耐久性があります。肌に当たる部分が和紙という、これまでになかった新しい糸ということで、特許素材の登録をしました。