「触れるだけで膿と血がついて激痛」奈美悦子 20年かけて寛解した掌蹠膿疱症性骨関節炎「当たり前の幸福に気づけた」
── 仕事は一時、お休みされていたとか。 奈美さん:完全に休んでいたのは2か月くらい。その間に必死に勉強して、やっぱり食べ物が重要だと気づき、そこから食を見直しました。免疫細胞の70~80%は腸内に生息することを知り、「じゃあ、腸内環境を整えよう」と考えて。腸内環境によくないとされる小麦粉と白砂糖をやめ、白米から雑穀中心に切り替えました。雑穀について学び、雑穀アドバイザーの資格も取っています。私が受けたときは受験者数が100人ほどいて、合格したのは5人くらいでした。
あとは旬のものを食べる、というのも心がけているところです。春は苦いものを食べることによって体内の毒素を流す。夏は体を冷やすためにナスやトマト、キュウリをそのまま食べる。「旬のときに旬のものを食べる」のがいちばん安いし、栄養もたっぷりある。昔ながらの日本の食だけれど、そう考えると日本人ってとても賢くて、知恵があったんですよね。旬をきちんと知りたくて、近所に畑を借りて、実際に無農薬野菜を育て始めました。やっぱりおいしいですよ。採れたてのナスなんてもう梨みたい。その代わり無農薬なので、雑草と虫との闘いですけど(笑)。
■70代にして骨が出て緊急手術「当たり前に感謝するように」 ── その後、体調はいかがですか? 奈美さん:掌蹠膿疱症性骨関節炎に関しては「寛解」という状態です。でも、この歳になると、いろいろ出てきますね。今年になって、大けがをしてしまって。腕を手術しています。 ── それは大変です! 奈美さん:ワンちゃんと散歩をしていたら、向こうから犬がやってきて、急にそこへ走り出してしまって。私はリードを持ったまま引っ張られて、気づいたら転んでいました。まず、頭をガンと打って、なんだか腕が痛いと思ったら、骨が飛び出ているじゃないですか。自分の骨を見たのなんて、生まれて初めてです。
そこから緊急手術です。骨を元の角度に戻すため、鉄のプレートを入れて、術後はプレートを固定する鉄の棒が腕から飛び出ている状態でした。お医者さんには「10日経ったらこれを取る手術をします」と言われたけれど、私としては「10日もこのままですか?」という気持ちです。痛くて眠れないし、うたた寝できても5分くらい。顔も洗えなければ、トイレに行っても利き手が使えない。ご飯はスプーンを使って左手で食べるのだけど、慣れていないのでぼろぼろ落とすんです。もう泣きたくなりましたね。