核兵器廃絶「最後の仕事」 被団協・木戸さん今後を語る
ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の事務局長、木戸 季市(すえいち) さん(84)(岐阜市)がノルウェー・オスロでの授賞式から帰国した。「これまでやってきたことを受け継いで、そして、すべての人に伝えていかなくてはいけない」と核兵器廃絶に向けた思いをさらに強くしている。
ノーベル平和賞
木戸さんは1945年、5歳の時に長崎市の爆心地から約2キロ先の自宅近くで被爆し、顔半分にやけどを負った。2017年から事務局長を務める被団協は、被爆者の立場から世界に核兵器廃絶を訴えてきた活動などが高く評価され、ノーベル平和賞に輝いた。 18日に岐阜市役所を訪れた木戸さんは、柴橋正直市長らに受賞を報告し、記者会見に臨んだ。「ノーベル賞をいただいた時から世界が変わった。世界から期待されてるというか、眺められてるというか。『これから頑張らないと』と思った」と振り返った。
記念講演に感動
授賞式などに出席し、何度も心打たれた。「国を挙げて、歓迎していただいて、本当にうれしく思った」。様々な人と会い、被爆者がどう生きてきたか、何を望んでいるかなどを語った。「みんなの気持ちが『とにかく戦争なくそう』『核兵器なくそう』ということで一致していた」。有意義な時間だった。 長崎で被爆した被団協代表委員の田中 熙巳てるみ さんの記念講演には「もう感動、感動。よくぞ言った」と喝采を送った。被爆者の思いを代弁したスピーチに心から感動したという。
「人類守る責任」
木戸さんは「ノーベル平和賞をいただいて、大変ありがたい」と笑顔を見せつつ、「『人類を守る』という責任を負わされた」と気を引き締める。核兵器廃絶に向け、「残り少なくなった私の生涯の最後の仕事。これをやり切る。そういう使命を仰せつかった」と強調した。 「一番大切なことは『核兵器が使われたら、人類が滅びる』ということ」といい、「核兵器にしがみついているのは少数。圧倒的多数は『核兵器をなくし人類を守ろう』で合意している」と指摘する。 「世界の市民は『核兵器をなくそう』と合意しているので、その未来は明るい」と語る。その上で、「黙っていたら未来が来ない。未来を明るくする努力を私たちは続けなければならない。立ち止まったらダメなんです。常に歩いていかなければいけない」と力を込めた。