ユニチカが繊維事業から撤退 業績悪化…全取締役が退陣へ 870億円の金融支援求める
大手繊維メーカーのユニチカが、繊維事業から撤退することを発表しました。高度経済成長を支えた繊維業界で、事業の縮小・撤退が相次いでいます。 【画像】風吹ジュン、紺野美沙子、本上まなみ…有名女優輩出したユニチカの決断
■今期は103億円赤字か 870億円の金融支援求める
両手を広げ、笑顔はじける水着姿の女性。初代(1974年)「ユニチカマスコットガール」の風吹ジュンさん(当時21)です。 名前の通り、風に吹かれたようなさわやかなほほ笑み。ユニチカは「キャンペーンモデル」を日本で初めて採用し、ブランドイメージを高めてきました。(※現在の名称は「アンバサダー」) 風吹さん以降も、紺野美沙子さん(当時18)や本上まなみさん(当時19)など数々の有名俳優を輩出し、芸能界への登竜門としても注目を集めました。 そのユニチカは28日、祖業の繊維事業312億円を含む年間売り上げ1200億円の4割にあたる事業から撤退することを表明しました。 ユニチカ 上埜修司社長 「この度、ユニチカグループは事業再生計画を提出し、再生支援の申し込みを行いました」 事業を縮小させる理由は…。 上埜社長 「(安い)中国品が入ってくることであるとか、非常に市場環境の競合が厳しくなったというのも一因でございます」 円安や原材料の高騰の影響により、繊維事業の営業利益は2021年3月期から4期連続赤字で、今期もマイナス10億円を見込んでいます。 上埜社長 「当社の現状は収益力の低下に伴い資金創出力が失われ、足元では自助努力による資金繰りの維持が困難な状態です」 今期の連結最終損益は103億円の赤字となる見通しで再建に向けて、官民ファンドや銀行に債権放棄を含め870億円の金融支援を求めます。
■今後の事業は? 業績悪化…全取締役が退陣へ
明治期から高度経済成長期まで、日本の基幹産業だった繊維産業。ユニチカは1889年創業後、1918年に「大日本紡績」となってからは、「鐘淵紡績(カネボウ→現クラシエ)」「東洋紡績(現東洋紡)」と並び「三大紡績」と呼ばれました。 他社はその後、多角的に事業を展開。カネボウ(現クラシエ)は2004年、繊維事業の不振などを理由に破綻しますが、日用品や薬品といった事業で復活。東洋紡は医療品が主力事業になりました。 一方で、ユニチカは繊維以外に活路を見いだしきれませんでした。今後は…。 上埜社長 「将来性のある事業である高分子事業、無機系素材の機能資材事業で構成されるポートフォリオへと変革していきます」 例えば、ソーセージや餅などに使われる衝撃に強い食品包装用フィルムなど、需要が伸びている事業に経営資源を集中させる方針です。 28日の株式市場で、ユニチカ株は赤字事業の撤退を好感し一時、前の日に比べて22円高の258円まで急伸しましたが、終値は7円高の243円となっています。 上埜社長 「このような形をとるということを非常に反省点が多いというか、痛恨の極みということになりますが、今回ユニチカグループが存続するための最後のチャンスをいただいたものと考えております」 上埜社長らすべての取締役は業績悪化の責任を取り、来年4月をめどに退陣する方針です。 (「グッド!モーニング」2024年11月29日放送分より)
テレビ朝日