肌を重ねた夜を支えにする“35歳女優”、その相手男性の一言にモヤる理由|NHK大河ドラマ『光る君へ』第11回
好きだけれどままならない
周辺が騒がしい中でも、どうしても互いのことを思い出してしまうまひろと道長。肌を重ねた一夜のことがふと蘇る。より想いが募るようになってしまったのかもしれない。その表情がハッとする艶がある。 形としては、まひろが道長を振ったことになるが、だからと言ってまひろが道長を嫌いになったわけではない。むしろ、好きでたまらない。 道長は従者に言伝をし、いつもの場所で再びまひろと会う。抱きすくめ、唇を重ね、「妻になってくれ」と言う道長。 まひろは「北の方にしてくれるの?」と聞き返す。 道長は黙り込んだあとに返事をする。 「北の方は無理だ」「されど、俺の心の中ではお前が一番だ」 いや、わかる。言いたいことはとてもわかる。状況的にまひろを北の方にするのは難しい。そして他に妻がいても、まひろが一番であるという道長の気持ちもわかる。 でもなんだかな……と思ってしまうのは現代人だからだろうか。
道長の言葉が引っかかる理由
だからと言って「北の方になってくれ」と言われてまひろが受け入れたかというと、そうとも思えない。 道長はまひろに向かって「勝手なことばかり言うな!」と憤ったが、もともとまひろが望むものは「妻」ではないのでは?と思う。 あと、いつの時代でも「お前が一番だ」は言ってはいけないセリフだなあ、と実感する。だって二番がいるということで、その順位はふとしたときにひっくり返ってしまう可能性があるのだから。
倫子が羨ましい
まひろに狙っている人がいる、と打ち明けていた倫子。必ず、その人を婿にして見せると断言できるところに、彼女の強さを感じさせる。 地位があり、分別が付き、たおやかさもある。 彼女が思いを寄せているのは道長だが、彼女が道長の北の方になることは可能だ。条件は全て揃っている。 これで倫子が嫌味な女性ならまだツッコミどころもあるのだが、彼女がそのように育つはずがないのだ。家柄のある家の娘として生まれ、だからと言って甘やかされる事もない。入内させることを念頭に置いて育てられているのだから、それなりに厳しい環境にあるはずだ。それならば他の女性を見下したり、意地悪を言ったりもするのでは、と思わなくもないが、高すぎる場所にいるとそんなことを言う発想もないのだろう。心の余裕が彼女の美しさを生む。 ただ、道長が最初に望んだ女性がまひろだともし彼女が知ったとき、どのような思いを抱くのだろうか、と考えてしまう。下世話な妄想かもしれないけれど。 <文/ふくだりょうこ> 【ふくだりょうこ】 大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ
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