「年金は破たんする!?」はウソです
年金の運用は比較的ちゃんとやっている
公的年金の運用は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)というところがおこなっています。このGPIFが年金積立金を自分たちで運用し始めたのが01年ですが、14年末までの13年間で挙げた利益の累計額は50兆円余りあります。 この数年の年度別に見てもリーマンショックのあった08年度こそ年間で9.3兆円ぐらいのマイナスが発生していますが、09年度から昨年度までの5年間では10年度に3000億円のマイナスを出した以外は毎年プラスの利益となっています(GPIFのホームページより)。 アベノミクスが始まった12年、13年はいずれも10兆円以上の利益が挙がっています。年金資金の運用自体は決してうまくいってないというわけではないのです。ところがマスコミ等では、今年の年初のように大きく下がって評価損が出た時だけ大きく報道しますから、「年金の運用はうまくいってない」という印象が植えつけられてしまうのです。 でもこれは実際にGPIFのホームページを見れば今までの運用成果が全部公表されていますからそれほど問題はないということがわかるはずです。
まず考えるべきは「自分の年金がいくらもらえるのかを知ること」
私は、みなさんが考えている以上に年金制度はしっかりしたものだと思っています。もちろん、年金は今後何があっても大丈夫とか、未来永劫安心などというつもりはありません。日本の経済成長が続かなければ社会保障制度も決して安泰とは言えませんし、かつて年金を「100年安心」と言った政治家がいましたが、そこまで言うのは言い過ぎだろうと思います。 ただ、年金不安をあおり立てている金融機関や一部のマスコミの言葉に乗って年金保険料を支払わないということになれば、それは結果としてあなた自身の将来に大きな禍根を残すことになりかねません。 もちろん公的年金だけで将来自分の望む生活が維持できるというのは難しいでしょうから、これからは自立や自助努力ということが一層求められる時代になることは確かです。でもその場合でも公的年金というのはまず初めに土台となる部分だということはしっかりと認識しておく必要がありそうです。 老後の収入として、まず一番最初に金額を把握しておくべきなのは公的年金です。毎年送られてくる「ねんきん定期便」をまずしっかりと見るところから始めてみてください。 (経済コラムニスト・大江英樹)