なぜ日本人は睡眠ベタ?「寝ずにがんばるのが美徳」の空気感の背景
睡眠への意識が高まりつつあるとはいえ、日本人の睡眠時間の短さは世界一。その原因は、ついがんばりすぎてしまう真面目な国民性が関係しているそう。「睡眠ベタ」な日本人の実態について、『最高の睡眠』の著者で医学博士の西野精治先生に教えてもらいました! 【不眠レベル診断】 眠れない原因と対策方法を徹底解説!
日本人は睡眠が下手? その理由は?
西野先生 具体的な睡眠時間は調査方法によって異なりますが、日本人はどの調査でも世界でいちばん睡眠時間が短い。韓国も非常に短いですが、勤勉な人が多いとされるアジア人の気質も関係していると思います。とくに日本は高度成長期に、睡眠時間を削って働いたり勉強したりすることが美徳だと考えられていた。そんな文化社会的なことも関わっています。若い人たちの感覚は変わってきていますが、会社の上司や親は、高度成長時代の影響を受けている世代。ロングアワーワーキングで、“削るもの=睡眠”という背景があったことは間違いないですね。
【睡眠に男女差ってあるの?】ホルモンの影響を受けやすい女性の睡眠
生理周期や妊娠・出産など、さまざまな変化が訪れる女性の体。西野先生によると、動物による調査ではオスとメスで睡眠時間に差はないそうだけど、人の場合は? 西野先生 睡眠に大きな影響を与える因子がいくつかあり、その1つが体温。寝ているときは体の中の深部体温が下がることが大切。女性は生理などがあり体温変化が起こりやすいので、変化が起こるタイミングで睡眠に影響を与えることがあります。また、性ホルモンもカギに。とくに、生理や妊娠・出産、更年期などで、女性ホルモンは乱れが起こりやすい。もちろん個人差があるので、ほとんど問題にならない人もいますが、女性ホルモンの変化によって睡眠の量や質が変わるリスクは高いと考えられます。更年期は女性ホルモンが減っていきますが、女性ホルモンが“低下”したからその後ずっと睡眠の質も低下するということではない。女性ホルモンに“変化”があるときに睡眠にも影響が現れたりするということです。 イラスト/本田佳世 取材・文/橋場鈴里 Edited by 西村 美名子
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