【直撃インタビュー】中日ドラゴンズ・中田翔が激白「さらば、 栄光のジャイアンツ!」
右こぶしをグッと握って――。 「これって、格闘家がやるポーズちゃうん?(笑)」 そう言いながら、中田翔(34)はFRIDAYカメラマンのリクエストに素直に応じた。 「何が聞きたいん?」アポなし直撃取材に素直に対応 中田翔の「素顔写真」【未掲載カットあり】 今季から中日ドラゴンズの一員となる中田。彼が大分県の奥地で再スタートを切ると聞き、さっそくFRIDAYは現地に飛んだのだが――アポなしの直撃取材にもかかわらず中田は「何が聞きたいん?」と、やはり素直に受け入れたのである。 FRIDAYが聞きたかったのが、まさにこの「素直さ」についてだった。前年に.269、24発の好成績を残した大砲がなぜ、代打要員となることを受け入れたのか。年俸3億円の大型契約をあと2年も残していたのに、なぜゴネもせずに手放したのか。 プロ通算で300発超のホームランを打っている大砲は、静かに話し始めた。 「ジャイアンツを出ることを考え始めたのは、シーズンが終わってから。チームに不満があるとかやなくて、『試合に出たいな』と、純粋にそう思っただけ。そんななか、阿部慎之助新監督(44)の『一塁は岡本和真(27)で固定する』という発言をLINEニュースかなんかで知って、『だったら、仕方ないな。何らかの決断を下さないといけないな』と思った」 最大のネックは家族だった。 子供が4人おり、しかも最年長の長女がまだ小学生とみんな幼い。住環境を変えることに逡巡(しゅんじゅん)していたのだ。 「長女は『どうするんだろう』って気にしてたと思うよ。転校するかもしれないわけだから。それでも、『どこに行ってもついていくよ』って妻子は言ってくれた。それが自分的には大きかった」 ’21年のシーズン途中に日本ハムから移籍してきて、3シーズンで巨人を去ることになった。栄光のジャイアンツは、中田の目にどう映ったのか。 「いい思い出は――とくにないな(笑)。やっぱりあれかな、長嶋茂雄さん(87・終身名誉監督)に打撃指導していただいたことかな。ジェスチャーを交えながら、『バットはこう出しなさい』『短く持つのもいい』と。オーラあったわ~。あと、思っていたより大きくてビックリした。巨人にいたからこそ……いや、巨人にいても、なかなかない経験やからね」 ツラかった思い出はスラスラ出てきた。「昨季の後半戦はずっとキツかったわ」と中田は苦笑いした。 「代打は難しい。初球からいく勇気も必要やし、敢えて見逃すことも必要。変化球にヤマを張るケースもある。データを頭に入れて、相手投手の映像を見て、5回以降はベンチ裏に行って……俺、代打は別のスポーツと考えてるから。ベンチで試合を見ながら、『頭から試合に出たいな』って毎日、思ってたね……。試合前日にスタメンが発表されるんやけど、ベンチスタートになることについての説明やフォローはない。俺やからじゃなくて、ジャイアンツはそういうこと、しないんやないかな。ただ、元木大介さん(52・作戦兼内野守備コーチ)とか、亀井善行さん(41・打撃コーチ)は一緒になって考えてくれた。とくに元木さんは『お前、今日も出てねぇのか!?』って、笑いに変えてくれた。『逆になんでですか?』って聞いたら『俺に聞かれてもわからん!』と言うとったけどね(笑)」 ◆立浪監督から直電 昨年11月15日、中田が巨人との複数年契約を解除する選択権を行使すると、セ・パの複数球団からオファーが届いた。 だが、中田のハラはすぐに決まった。 「代理人が交渉しとったから正確な数はわからんけど、3~4球団からオファーがあったみたい。ただ、ストレートに気持ちを伝えてくれたのは中日だけやった。『来る気があるのかないのかだけ、先に教えてくれ』という球団もあるなか、中日は立浪(和義・54)監督が直接、電話をくれて、『一緒にやりたい。お前の力が必要だから、貸してくれ』と筋を通してくれた。あれは心に響いたな」 立浪監督はクリーンナップでのスタメン起用を明言している。 「若い子たちといろんな話をして、引き出しを増やしてあげたい。そのやり取りのなかで、俺も勉強になることがあるやろうしね。それにしても――また、広い球場でやらなアカンねんな(笑)。本拠地のバンテリンドームはカス当たりではホームランにならんからね。しっかり捉えることを意識しないとスタンドに入らない。まあ、日本ハム時代の本拠地・札幌ドームも、それは同じやったから」 昨季途中、立浪監督の指令で球場から炊飯器が撤去されたと一部で報じられ、”令和の米騒動”と大騒ぎになったのは記憶に新しい。そんなネガティブな雰囲気も中田は変えていくつもりだ。 「米騒動の件は俺の耳にも入ってきた。『まったく米を食べさせてもらえない』って話やったけど……実際にはしっかり用意されてるって聞いたで?(笑) この手のウワサは、話が大きくなりがちやから気をつけんとね。若い子が立浪監督を怖がっているのかどうかはわからんけど、俺は監督が侍ジャパンの打撃コーチをされていた頃から10年来の付き合い。どれだけ凄い人なのかを、伝えられればいい。とにかく――中日で勝ちたい。優勝して、日本一になりたい」 今シーズンを中田は野球人生の「ラストスパート」と表現した。野球に飢えた大砲のスパートで、中日がガラリと変わるのは間違いない。 『FRIDAY』2024年2月16日号より
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