投票率90%前後のオーストラリアに投票制限法が広がるアメリカ…「世界の選挙」 “選挙の仕組み”を取材
■投票率は毎回90%前後!オーストラリアでは「投票が義務」「順位付け方式」
オーストラリアの首都・キャンベラ州の議会選挙の投票所では、投票のために並んでいる人たちの横でソーセージが焼かれている。これは「デモクラシーソーセージ」と呼ばれるもので1980年頃から行われているそうだ。「有権者を歓迎する儀式」とも言われ、お祭りのようだが、ソーセージのためだけに投票に来ているわけではない。 オーストラリアでは100年前から投票が義務。投票しなければ罰金も科されるため、投票率は毎回90%前後だ。その投票方式は誰か一人に投票する、ではなく順位をつけるというもの。一人だけ「〇」をつけたり、「1」しか書かなかったら無効になるそうだ。日本から見ると少し複雑な制度でもあるこの順位付け方式、そのため政治家たちは様々な対策をしているという。 「まず容認できない政治思想を持つ人、人種差別的な政党を 『how-to-vote』シートの最後に置く。そのうえで、多くの選挙区では中道左派・労働党と、中道右派・自由党及び国民党の連立政党の間で争うので、連立政党が勝利した場合に有権者が不利益を被る理由を訴えることで連立政党を選択肢の最後のほうにに置くよう促す」(労働党・ポール・エリクソン書記局長) 秋山氏は『how-to-vote』シートのメリットについて、「政党が配っているシートを見て、その通りに書く人は結構多い。投票が義務なので多くの人が投票所に来るため。選挙活動の一環で候補者自らが投票所の近くでこれを配っている事もあるまた、「できるだけ無駄になる票を少なくしたい思いがある。一人だけ選ぶ選挙は選択が結構難しい。この人を当選させたくない、という人を下位にすることもできる。たくさんの人の思いを反映する仕組みということで、順位付け投票をしている」と補足した。
■選挙は無理ゲー?変われる?投票率低い日本の“選挙の仕組み“
今回の取材を通して、秋山氏は「選挙自体が無理ゲーと言われ、もはや機能しないのではという人たちもいる。ただ、自分たちの意思を政治に反映する仕組みで、選挙以上に有効なものを今はまだ考えられていない。選挙をいかに機能させるかっていうことを常に考えないといけない」と語る。 そのうえで、「今回は世界にはいろいろな選挙の仕組みがあると伝えたが、日本では今のまま変わらないと思っている人が結構いると思う。日本は1996年から小選挙区比例代表制が導入され、当時は制度が複雑すぎて国民も理解できないんじゃないかとか報道しきれないなど大騒ぎだったが、20年経過した今はみんながそれなりに慣れている」と分析した。 「今の制度も工夫されているが、決して変えられないものではない。日本の選挙制度だって発展して変わっていく可能性がある。有権者がちゃんとチェックしたり、要求したりすることはすごく大事なんだと思う」(秋山氏) (朝日新聞/ABEMA)
ABEMA TIMES編集部