【中国】太陽電池材大手2社が減産、価格急落に対応
中国の太陽電池材料大手2社が減産に乗り出す。供給過剰で価格が急落していることに対応し、生産ペースの調整で損失を抑える。2社を合わせた対象の年産能力は120万トンを超える。 通威は24日、傘下の高純度シリコン事業会社、四川永祥が四川省と雲南省に持つ4カ所の生産拠点で段階的に減産すると発表した。生産設備を止める間は技術改良やメンテナンスも進める。四川永祥の高純度シリコンの年産能力は90万トン以上。同社は「減産によって高純度シリコン事業の損失を削減する」と説明した。 新疆大全新能源も24日、新疆ウイグル自治区と内モンゴル自治区に持つ2大生産拠点で多結晶シリコンを減産すると発表した。2拠点の年産能力は30万5,000トン。生産再開は市況をみて判断する。 大全新能源は「主要製品の販売量は減少しているが、減産と設備メンテナンスによって製品の質を向上させると同時に、運用コストを削減して損失を減らす」と説明した。 業界では投資を見直す動きも出始めている。 太陽電池メーカーの隆基緑能科技(ロンジ)は今月、安徽省蕪湖市で予定していた太陽電池モジュール工場の2期工事を2026年6月に延期すると発表した。年産15ギガワット分の単結晶モジュールを生産する予定だったが、太陽電池の価格下落を受けて短期的に収益性が見込めないと判断した。 太陽電池は過剰供給で価格が急落している。業界団体の中国光伏行業協会(CPIA)によると、太陽電池材料の今年1~10月の価格は多結晶シリコンが35%、ウエハーは45%それぞれ下がった。太陽電池セル(太陽電池モジュールの最小構成単位)と太陽電池モジュールはともに25%以上値下がりしたという。 CPIAの王勃華名誉理事長は5日に開いた年度会議で、太陽電池業界の今年の損失規模は、08年の世界金融危機や、12年の中国製太陽電池に対する反ダンピング・反補助金関税措置、18年の再生可能エネルギー導入を巡る政策変更による影響が出た時期をそれぞれ上回っていると指摘。上場企業121社のうち、39社は24年1~9月期に赤字を出した。 CPIAなどの業界団体は今年、業界企業を集めた会議を複数回開き、行き過ぎた価格競争の是正を呼びかけていた。