「アポ電強盗致死」やり直し裁判 3年半前に「よっしゃー!」と叫んだ被告は“オシャレ髭”を生やして傍聴席にガン飛ばし…検察は「今度こそ無期懲役を」
目を合わせて“ニンマリ”した2被告
酒井被告も決して態度がいいとは言えなかった。法廷に入るやじっと須江被告を見つめ、目を合わせようとしていた。 はじめのうち気づかなかったのか無視していた須江被告だったが、休廷を挟んだ後に目が合った時は込み上げる笑いを堪えるような表情をしていた。それを見て酒井被告も笑っていた。 学校で先生に叱られている悪仲間によく見られがちな光景だが、実際、2人は出身が同じ長野県で以前からの知り合いなのである。先に酒井被告が闇バイトに応募して、黒幕となる男が住んでいた大阪の家に転がり込み、須江被告を呼び寄せた。 2人とは別途、闇バイトに応募してグループに加わることになったのが小松園被告だ。2人より5つほど年上だが、法廷での態度も2人とは対照的だった。 誰とも視線を合わそうとせずみじろぎもしないで俯いていた。表情には生気がない。髪型も須江・酒井両被告がスポーツ狩りだったのに対し、小松園被告だけが丸坊主だった。 3被告は他に6つの窃盗・強盗・強盗傷事件で起訴されており、区分審理され既に有罪判決が出ている4事件以外の2事件も合わせて審理される。 検察側は冒頭陳述でこう主張した。 「被害者が高齢であることを認識しながら、激しく抵抗する被害者に対し、手足を緊縛し、口を粘着テープで塞ぎ、頭部を圧迫するなど強度の暴行を加えて被害者を死亡させたのであって、被害者が被告人たちの暴行が原因で死亡したのは明らかだ」 関係者によれば検察は「今度こそは無期懲役を、という意気込みで臨んでいる」という。 一方、3被告の弁護人は「意図的に頸部を圧迫して死なせたわけではない」として「無期懲役は重すぎる」と訴えた。 「よっしゃー!」で世間の怒りを買ってから3年半ぶりに振り出しに戻った裁判。はたして裁判員はどういった量刑を選択するのかーー。 【やり直し裁判が始まる 法廷で「よっしゃー!」と喜んだ「アポ電」強盗犯 一審判決が見誤った“酌むべき事情”】では、無期懲役の求刑を退けた1審判決の内容と3被告が全国各地で起こした「7つの事件」について詳しく報じている。
デイリー新潮編集部
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