歌声重ね復興へ決意 校舎間借りの輪島・東陽中 能登・柳田中と合同で文化祭
●柳田小体育館を会場に 奥能登豪雨で校舎が床上浸水した輪島市東陽中の文化祭が2日、校舎を間借りしている能登町柳田中と合同で開かれた。柳田中も能登半島地震で体育館が被災したため、会場は柳田小体育館に移して開催。大勢の保護者や教職員が見守る中、両校の全校生徒62人が合唱で力強い歌声を重ね合わせ、ふるさとを襲った二つの大災害に負けず、復旧復興へ前を向く決意を示した。 ●福島の教師作った「群青」合唱 東陽中は浸水で校舎が使えなくなり、生徒10人は10月から柳田中にスクールバスで通学している。今年度は柳田中の文化祭に参加することになり、合唱を一緒に披露することになった。 柳田中の全校生徒52人と一緒に歌ったのは、東日本大震災の発生後に福島県南相馬市の音楽教師らが作った「群青」。能登の復興を願いながら歌い終わると、教職員に加え、駆け付けた約100人の保護者から大きな拍手が送られた。 東陽中3年の南悠晴さんは「最初は人数の多い柳田中との学校生活は不安だったが、今は親しい人が増えた。合唱の出来栄えは100点満点だと思う」と笑顔を見せた。柳田中3年の新池玲梛さんも「難しい曲だったが、みんなで上手に歌うことができて満足。東陽中の友人とはいずれは別々になると思うと、寂しい」と話した。 東陽中の娘2人を見守った細谷(ほそたに)智恵子さん(51)は「迫力のある歌を聴けて感動した。柳田中とのつながりが生まれてよかった」と喜んだ。 文化祭は柳田中の吹奏楽部や書道パフォーマンス、両校の演劇の発表なども繰り広げられた。 柳田中体育館は地震で天井が落下したため使えず、文化祭は近くの柳田小体育館を借りて行った。東陽中の校舎も現時点で復旧の見通しは立っていない。