民話伝える かるた完成 高萩の住民団体 厳選45話、コミカルに 茨城
茨城県高萩市内で語り継がれている民話を紹介する「民話かるた」が完成した。民話に親しみを持ってもらい、地域に伝承していこうと、昔語りを行う住民団体「高萩民話の会ほおずき」が45話を厳選し、読み札とコミカルな絵札を約3年かけ製作。同会は「子どもたちや住民が民話を知るきっかけになれば」としている。 同会は市の公民館講座をきっけに2017年に発足し、現在は50~80代の男女12人が所属。不定期で民話の昔語りイベントを開いたり、小学校で民話を指導したりするなど精力的に活動している。 かるた作りは子どもたちなどが民話に触れる機会にしようと企画。21年から製作に取りかかり、月2回の練習の際にメンバー全員で意見を出し合いながら「を」を除く45話を厳選。23年春に先行して読み札が完成した。 この間、趣味で日本画を習う上田房江さん(73)を中心に絵札の製作も進めた。「話の内容から一つの場面を抽出し、想像で描くのが難しかった」と上田さん。それでも、会員からのアイデアや助言を生かし、今夏に完成させた。日本画に使う絵の具「顔彩」を用いており、「子どもにも親しみやすいタッチで描き上げられた」と目を輝かせる。 かるたは全て同市で語り継がれてきた民話で構成され、45話のうち17話は同市が舞台。「な」は「名馬里ケ淵 子馬悲しや 水の音」で、同市中戸川の淵に子馬が捨てられ、災いとして洪水をもたらしたという伝説を表現した。このほか、「不動滝」や「土岳の天狗(てんぐ)と木こりの力くらべ」などを収録し、高萩の名所や妖怪などが登場する伝説や昔話が楽しめる。 代表の会沢悦子さん(70)は「民話を語呂良く、短くするのが大変だった」と作業を振り返り、「完成して良かった」と満面の笑み。かるたは同会のイベントや学校での出前授業のなどの際に活用する方針で「多くの人を民話の世界に引き込みたい」と話した。
茨城新聞社