法廷に響く姉の思い「弟、巌に真の自由をお与え下さい」…袴田さん再審始まる 「ねつ造」に言及…元裁判長が語る正義 /今年の静岡
弁護側は「1年2カ月もみそにつかった状態なら血痕の赤みは消える。捜査機関がねつ造したもの」と主張。一方、検察側は同僚の証言などから袴田さんの犯行着衣だとした上で、「長期間みそにつかっても血痕の赤みは残る。捏造はありえない」と反論。激しく対立しています。 再審で重要なポイントは、5点の衣類は捜査機関が「ねつ造」したのか、そうでないのかです。
「ねつ造は避けて通れなかった」
再審開始決定でねつ造の疑いに言及した村山元裁判長は-。 村山元裁判長:「いかにも袴田さんの衣類ですよね。だから本当の証拠と思われた。だけども、それが違うんだってなったときに、偶然ということがあるんでしょうか。そこはもう論理的な推論として、(ねつ造が)成り立ってしまうのじゃないかと思いますね。そのことが、やはり開始決定とともに拘置を停止して釈放するということに結びついている一つの理由にもなっている。そういう正義。(ねつ造は)避けては通れなかった」
法廷に響く姉の思い
袴田さんの再審は、静岡地裁が一度は認めたものの、検察官の不服申し立てを受け、2018年に取り消されています。再審をめぐる制度上の不備もたびたび指摘されています。村山元裁判長は退官後、弁護士として再審法改正問題に取り組んでいます。 村山元裁判長:「(袴田事件は)単なる誤判というだけでは済まされないものがあって、それを深刻に反省しない限り、刑事裁判の質が上がらないし、もしくは真剣な反省の上にたって制度改革ということに話が進まないのではないかと思います。それは日本の刑事司法界全体が負うべき責任」 10月27日静岡地裁の202号法廷。弟の無実を信じ続け闘ってきた、姉の思いが響きました。 「弟、巌に真の自由をお与え下さい」