地震に便乗、被災地狙う悪質商法・窃盗に注意 富山県内で相談相次ぐ
能登半島地震に乗じた悪質商法や窃盗に関する相談が、富山県警に相次いで寄せられている。地震による被害が大きかった県西部を中心にブルーシートの販売や住宅の修理を持ちかける不審な業者が確認されているほか、氷見市内では空き巣の被害も判明した。県警はパトロールを強化するなどして警戒を強めている。 「屋根が傷んでいるので修理しますよ」。9日昼、氷見市中心部の釣具店に見知らぬ3人組の男が訪ねてきた。それぞれ40歳くらいで、作業着姿。頭にねじり鉢巻きを巻いていた。 経営者の男性(67)が断っても「何でですか」と言って引かない。「知り合いに頼むから」と強く拒否すると、ようやく立ち去った。男性は「周りの家にも同じように回っているようだった」と振り返る。 県警が1日の地震発生から12日までに防犯メールを通じて注意を呼びかけた事案は少なくとも7件。高岡市や富山市、滑川市などでブルーシートの購入や住宅の屋根の修理を持ちかける業者が確認されたという。
生活安全企画課は「全てが悪質商法とは断言できない」と説明する。ただ「他県の過去の事例をみると、被災した地域では混乱に付け込んだ犯罪が起きやすい」と気を引き締める。 警察庁の資料によると、東日本大震災後に岩手、宮城、福島の3県で侵入盗が増加。2011年3月から12月に、前年同期より189件多い計5062件が確認された。県警によると、氷見市の海峰小学校区では住民が避難して不在の住宅で窓ガラスが割られ、室内の棚が物色された。12日には同校区内の別の空き家で窃盗被害が判明した。 12日朝。氷見署中央交番の古田稔巡査部長(42)と大川夏未巡査(21)は氷見市北大町で住民に声をかけ、不審な人や車両への注意を訴えた。地元で町内会長を務める番匠光昭さん(77)は被災地での犯罪について「人が弱っている時に付け込んで、腹が立つ。人間のやることなのか」と憤る。 古田巡査部長は同市内の避難所で、被災者から「留守にした家が心配。パトロールをしっかりしてほしい」と伝えられた。「警察としてできることをしたい」と力を込めた。
氷見で防犯カメラ設置 被災地域の犯罪を防ごうと、県警は12日、JA氷見市稲積支所に防犯カメラ1台を設置した。 県警が必要と判断した自治会などに防犯カメラを貸し出す「安全安心見守りカメラ事業」を活用し、間島自治会(本多清治会長)に貸与した。本多会長は「今日も近くで空き巣被害があったと聞く。住民の安全につなげたい」と話した。同市の中央町ポケットパークにも近く設置される。